桜花賞の「最重要ステップレース」チューリップ賞で牝馬クラシック戦線へと羽ばたくのは? (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 血統も一流だ。母ソーマジックは桜花賞3着馬で、マジックキャッスル(中京・芝2000mのGⅢ愛知杯)、ソーヴァリアント(阪神・芝2000mのGⅢチャレンジCを2回勝利)、ソーダズリング(京都・芝1400mのGⅢ京都牝馬S)と、兄姉3頭が重賞勝ち馬になっている。兄姉はいずれも3歳秋以降に重賞を勝ったため晩成のイメージもあるが、マジックキャッスルは2歳重賞でも2着があり、母もこの時期にオープンのアネモネS(中山・芝1600m)を勝利していた。

 母の父シンボリクリスエスはキズナと抜群の相性を誇り、同じ配合からはソングライン(東京・芝1600mの安田記念などGⅠ3勝)、アカイイト(阪神・芝2200mのGⅠエリザベス女王杯)と2頭のGⅠ馬が出ている。父系、牝系、配合と、どこを取っても文句のない存在だ。

 もう1頭はジャスタウェイ産駒ショウナンマヌエラ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)を推す。7月の新馬戦を逃げ切った後、GⅢ新潟2歳S(新潟・芝1600m)でも2着と逃げ粘り。このレースを勝ったアスコリピチェーノが後のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・1600m)を勝っており、相手を考えると評価できる内容だった。

 前走のGⅢアルテミスS(東京・芝1600m)は5着に敗れているが、12kg増の馬体重で、完調ではなかったのだろう。今回は桜花賞の出走権利もかかるので、目一杯仕上げてくるはずだ。

 4代母スカーレットインクから広がる一族は日本を代表する名牝系のひとつで、桜花賞馬ダイワスカーレットや皐月賞馬ダイワメジャー、ダートチャンピオンのヴァーミリアンが出ている。ダイワスカーレット以外にも桜花賞2着のブルーリッジリバー、同3着のダイワルージュ、エリザベス女王杯2着のライラックなど、牝馬の活躍馬も少なくない。本馬もこれらに続きたいところだ。

 以上、今年のチューリップ賞はキズナ産駒ミラビリスマジック、ジャスタウェイ産駒ショウナンマヌエラの2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る