シンザン記念で注目の良血2頭。本命はディープインパクト産駒「最後の世代」 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 もう1頭はクファシル(牡3歳、栗東・池添学厩舎)に注目したい。同馬は姉がGⅡローズSのアンドヴァラナウト(父キングカメハメハ)で、母がGⅢマーメイドSのグルヴェイグ、伯父がGⅠクイーンエリザベス二世Cのルーラーシップ、伯母がGⅠエリザベス女王杯連覇のアドマイヤグルーヴ。祖母がGⅠオークスとGⅠ天皇賞・秋を制したエアグルーヴで、いとこにはGⅠ日本ダービーのドゥラメンテがいる。さらに近親には、昨年のGⅠチャンピオンズCを勝ったジュンライトボルト、GⅢ中京記念のグルーヴィットなど重賞勝ち馬を多く輩出している、日本を代表する名門牝系の出身だ。

 父モーリスは、2021年の勝ち馬ピクシーナイト、昨年2着のソリタリオと同じ。また、父モーリス、母の父ディープインパクトの組み合わせは、GⅠエリザベス女王杯のジェラルディーナやGⅢファルコンS(中京・芝1400m)のルークズネストと共通で、ルークズネストは2年前のシンザン記念2着馬だ。

 他のモーリス産駒も、ジャックドールがGⅡ金鯱賞(芝2000m)を勝つなど、中京芝コースとの相性は抜群。さらに、前述の姉アンドヴァラナウトが勝った2021年のローズSは中京・芝2000m、近親グルーヴィットが勝った2019年中京記念は中京・芝1600mと、近年は同牝系馬の中京芝コースでの活躍も目立つ。父系、牝系ともに、今回の競走条件と非常に好相性というデータが残っている。

 クファシルは昨年11月、阪神・芝1600m戦で新馬勝ち。マイペースの逃げで、2着に3/4馬身差、勝ち時計は1分35秒3と、すぐに重賞を意識させるような強いレースではなかった。しかし良血馬は、急激に力をつけることも。ひと叩きしてじっくり再調整され、満を持しての重賞挑戦だけに期待できそうだ。

 以上、今年のシンザン記念はディープインパクト産駒ライトクオンタム、モーリス産駒クファシルの良血2頭に期待する。

【著者プロフィール】

平出 貴昭(ひらいで たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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