フェアリーSを豪快に勝ちきったライラック。その強さに陣営も「想像以上だった」と唸った (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 こうして牝馬クラシックの有力候補に名乗りを挙げたライラック。同馬を管理する陣営は、早くからその力を感じとっていたという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「ブラックホールの下ということもあって、もともと期待はあったようですが、実際に追い切りを行なってみても『小気味のいいフットワークをするし、きっと走ってくれるだろう』と、厩舎スタッフは手応えを得ていたみたいです。

 とはいえ、初戦の走りは『想像以上だった』とか。さらに、フェアリーSも『出遅れた瞬間は"終わった"と思った』と相沢調教師は話していました。にもかかわらず、あの状況から巻き返して勝ったので、『改めて能力の高さを感じた』と唸っていました」

 唯一気になるのは2戦目の京都2歳Sでの凡走だが、陣営によると負けても仕方がない理由があったという。

「実はレースに向けて輸送をしようとしたところ、ライラックは馬運車に乗るのを30分以上も嫌がっていたそうです。どうやら、この時に『ライラックの精神面において、悪いスイッチが入ってしまった』と陣営は分析しています。

 そういった背景があるので、スタッフは『あのレースは度外視していい』と話しています。今後も輸送の際には同様の不安がつきまとうことになりますが、そこは陣営も対策を考えているみたいですよ」

 ライラックはこのあと、GI桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)に直行し、そのままGIオークス(5月22日/東京・芝2400m)に向かう予定。はたして、春の大舞台で戴冠を遂げることができるのか、注目である。

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