有終の美を飾ったコントレイル。堤礼実アナが「一生忘れることがないシーン」とは? (2ページ目)

  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 人間と同じく馬も、それぞれ顔立ちが違えば、性格も違う。コントレイルと間近で接したことによって、そのことを再認識させられ、以来、私にとってコントレイルはものすごく愛おしい存在になりました。

 いわば、コントレイルは競馬に携わるようになった私に、新たな転機を与えてくれた馬。そんな特別な馬の引退レースですから、そわそわした日々を送っていたのも無理もないことでした。

 そして、迎えたジャパンカップでは見事な勝利を飾りました。本当にうれしかったですし、心の底から「よかった!」と安堵しました。

 今までも、競馬を見ていてグッときたり、涙が出たりということはありましたが、ここまで感動したレースは初めてだったかもしれません。

 トップでゴール板を通過したあと、鞍上の福永祐一騎手の目にも涙が浮かんでいました。コントレイルを語るうえで、福永騎手との絆も忘れてはいけません。

 福永騎手はデビュー前からコントレイルに惚れ込んでいて、同馬の相棒に自ら名乗り出て、以降、騎手人生のすべてを注ぎ込んできたと聞いています。これまで数々の実績を残してきた名ジョッキーにとっても、それだけ特別な馬だったのでしょう。

 大きなケガこそありませんでしたが、デビュー前から脚元に不安を抱えていて、コントレイルの競走馬人生は必ずしも順風満帆だったわけではありません。無敗の三冠を達成してからは、勝てないレースが続きました。ファンの期待に応えられない結果に、福永騎手も思うところがあったはずです。

 それでも、最後にこれだけ見事な走りを見せてくれたのは、お互いの信頼があったからこそ。結果だけではなく、内容を見ても、誰にも文句を言わせない圧巻の差しきり勝ちでした。これ以上ない美しい走りだったと思います。

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