ディープインパクトの死で失われる「方程式」。その存在感は色褪せない (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 種牡馬としてのディープインパクトは、その父サンデーサイレンスに劣らず、凄まじい実績を残している。数多くのGI馬を輩出し、ダービー馬も昨年までに5頭も出した。しかしながら、「これぞ後継馬」と言えるほどの傑出した存在は出していないことから、その輝かしい実績に対しても、ケチをつける声が少なからずあった。

 だがそうした揶揄も、コントレイルの登場で一掃。「大種牡馬は晩年に大物を出す」という格言も、きっちり証明してみせた。

 加えて、ディープインパクトの存在感を改めて際立たせたのが、先の7月13日、14日に行なわれた競走馬のセリ市『セレクトセール』。同産駒が強烈な人気を誇ったのだ。

 昨年、亡くなる前に24頭の牝馬に種付けしているが、その半数以上が海外所有ということもあって、当歳馬での出展はなかった。その分、"実質的なラストクロップ"とも言える1歳馬たちは大盛況となった。

 なかでも、圧巻だったのは、母シーヴの2019(牡)が登場した時だ。

 この牡馬は、半姉がケンタッキーオークス馬という良血で、セリの最初の価格設定がなんと1億円だった。にもかかわらず、その価格はみるみると吊り上がって、最終的な落札額は5億1000万円(税別)にもなった。国内1歳馬のセリ価格では、史上最高額を更新した。

 以降もディープインパクト産駒は、次々と高値で取引され、シーヴの2019(牡)の5億1000万円を筆頭に、1位~6位までをディープ産駒が独占。価格上位10頭中、8頭がディープ産駒だった。もちろん、8頭すべての落札価格は1億円を優に超えた。

 まるで、その不在を惜しむかのように、ディープインパクトの残り少ない血が、熾烈な争いによって求められた。

 まさしく「不在」ゆえの「存在」である。

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