有馬記念でサートゥルナーリアは巻き返す。「謎の弱点」克服で勝算あり (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 ところが、スタート直前、ゲート裏での輪乗りの頃になると、それまでの落ち着きが失われ、気分よさそうな雰囲気も一変していた。突然、ガチャガチャと首を上下に振るなど、「暴れる」と言うに近いほどの気の悪さを見せ始めた。

 そして、その再現フィルムのような状況が、天皇賞・秋の際にも起きた。またしても、輪乗りの時に、急にガチャガチャとうるささを見せたのだ。

 この時のことを、鞍上のクリストフ・スミヨン騎手はこう証言している。

「パドックはよかった。馬場に出てから(サートゥルナーリアは)別の馬になった」

 先述の専門紙記者が「詳しくは言えない」と言ったことの内容は、どうやら馬場入りしてから、ゲート裏の輪乗りに至るまでの過程で、サートゥルナーリアの神経を逆立てる、あるいは怖がらせる"何か"がある――要するに、平常心を保てないような状態になってしまう、何かが起こる、ということらしい。

 案外、サートゥルナーリアは、怖がりで、気の小さい馬なのかもしれない。

 ともあれ、その"何か"は謎だが、先の専門紙記者によれば、厩舎関係者はダービーで負けた時点で、サートゥルナーリアには"ある弱点"があることを把握していて、調教などで、それを矯正するための策も講じていたという。

 その甲斐あって、神戸新聞杯は難なく勝った。だが、完全に"弱点"は解消し切れておらず、天皇賞・秋では再びその"弱点"が露呈しまった。

 そうなると、有馬記念でも"弱点"を抱えたまま、ということになるが、「今度は大丈夫でしょう」と、先の専門紙記者は言う。

「というのも、厩舎では当初、天皇賞・秋のあとはGIジャパンC(11月24日/東京・芝2400m)を予定していたんです。でも、天皇賞・秋で再び"弱点"が出てしまったことで、次走は『より長く間隔を取ったほうがいい』と判断して、有馬記念になったんです。

 今のところ、調整は順調だと聞いています。なんといっても、サートゥルナーリアを手がけるのは、名馬を何頭も送り出している角居勝彦厩舎ですからね。二度あっても、三度も同じ失敗を繰り返すことはないでしょう」

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