3強不在のローズS。サ行の名前の3頭が「流石に勝てる」と囁いている (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Nakahara yoshifumi/AFLO

 同馬はデビュー時からスタートが課題で、これまでの5戦はすべてのレースで出遅れているが、ハイレベルなレースで戦い続けている。2戦目のGIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)では1着ラッキーライラックと0秒7差の4着、3戦目のGIIフローラSでも1着サトノワルキューレと0秒2差の4着に入った。

 5戦目は牡馬混合のOP白百合S(京都・芝1800m)で2着。前走の青島特別では馬体重10kg増と成長を見せ、後方からの競馬が向かない小倉芝1700mのコースながら、出遅れから3馬身半差の圧勝と、かなりの地力強化がうかがえる。

 父はディープインパクトで、母はGI独オークス馬サロミナという良血。さらに母の父ロミタスは独チャンピオンサイアー(種牡馬ランキング1位)で、フランスのGI凱旋門賞を勝った名牝デインドリームの父でもある。一般的に、ドイツの血統は「早熟タイプ」より、3歳以降に本格化する「晩成タイプ」が多く、サラキアもこれからさらに強くなっていくだろう。

 センテリュオ(牝3歳/栗東・高野友和厩舎)も夏の小倉で2勝目を挙げてここに臨む1頭だ。前走の都井岬特別は3歳上牝馬限定の500万下、芝2000m。やや出遅れぎみのスタートから後方待機のレースとなったが、4コーナーでグイグイと進出し、ゴール前では力強い末脚を見せて豪快に差し切った。勝ちタイムは1分57秒6の好タイムだった。

 同馬は中距離適性を見込まれ、デビューから1800m以上のレースに出走。1着、2着、2着、1着と4戦して3着以下がなく、極めて安定した成績を残している。この馬もディープインパクト産駒で、全兄のトーセンスターダムは日本でGIIIきさらぎ賞、GIIIチャレンジCを勝ち、豪州へ移籍して6歳時にGIトゥーラクH(芝1600m)、GIマッキノンS(現エミレーツS・芝2000m)を勝利。さらに叔父トーセンジョーダンも、GI天皇賞・秋勝ち馬という良血だ。兄も叔父も古馬になって本格化した馬だけに、センテリュオもその道を辿るはずだ。

 以上、女王アーモンドアイへの挑戦権をかけたローズSは、サトノワルキューレの実績と実力に敬意を示しつつ、同馬を破る可能性のある2頭の上がり馬の台頭に期待したい。

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