オークスは絶対能力。有力2頭の疑問視は「イテテッ」と大ケガするぞ

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Yamane Eiichi /AFLO

 今週末20日、東京競馬場では3歳牝馬によるGIオークス(芝2400m)が行なわれる。今回79回目を数える、3歳牝馬のチャンピオンを決める伝統の一戦だ。

 レースで大きなポイントとなるのはGI桜花賞から800mも延びる大きな距離延長。牡馬の春クラシックは2000mのGI皐月賞から2400mのGI日本ダービーと400mの延長なので、比べると倍も差がある。これまでの傾向などを見ながら、「オークスで勝てる血統」について考えてみたい。

桜花賞馬アーモンドアイ。オークスで2冠達成なるか桜花賞馬アーモンドアイ。オークスで2冠達成なるか 最大の注目馬はやはり、桜花賞(4月8日/阪神・芝1600m)を勝ったアーモンドアイ(牝3歳/国枝栄厩舎)だろう。昨年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)などを勝ち、4戦4勝の戦績で単勝1.8倍の圧倒的人気だったラッキーライラック(牝3歳/松永幹夫厩舎)を並ぶ間もなく差し切ったその末脚は衝撃的ですらあった。

 普通に考えれば、あれだけの強い競馬で勝っただけに、オークスでも中心になると思う人が多そうだが、一方で血統を見て、「父ロードカナロア」が気になる人もいるだろう。同馬は日本調教馬として初めてGI香港スプリント(シャティン・芝1200m)を勝った、日本競馬史に残るスプリンター。勝利距離は1600mが最長で、1800m以上での出走はなかった。産駒の成績も、5月13日現在、芝の57勝中52勝が1600m以下と短距離に偏っていて、芝2400mは1戦して16着という成績が残っているのだ。

 しかし、これまでの歴史をひも解くと、「オークスの距離延長に関して、血統は関係ない」という傾向が見えてくる。本質は中長距離に向かない血統でも、絶対能力の高さで距離を克服してきた馬が多いからだ。

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