天皇賞・春よりカンタンだ。8頭立てQE2世カップでGWはウハウハ (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 しかし、である。 今年のQE2世Cはとにかく事件が相次いでおり、いわゆる"ミソのついていない"馬のほうが少ないぐらいなのだ。

 最初はレース3週間前に行なわれた、GIIチェアマンズトロフィー(4月8日/シャティン・芝1600m)での出来事だった。残り1300m、向こう正面で、後方を追走していたパキスタンスターが頭を持ち上げて、競走を拒否しようとしたのだ。思い出すのは、2012年の阪神大賞典でコントロールが利かなくなったオルフェーヴル。鞍上のジョアン・モレイラ騎手がどうにか立て直して、ゴール前では猛然と追い込んで4着に入ったが、調教再審査を受けることになってしまった。実はこの馬、昨年の6月にも同じことをやっており、前科があったのである。

 パキスタンスターは先週金曜日に行なわれたバリアトライアルと呼ばれる実戦形式の調教で、審査を受けた。ここでは意外にも逃げの手に出て合格をしたが、当日のレースで、この作戦は使えないだろう。

 ジョッキーにもハプニングが相次いだ。先週の土曜日。シャティンで行なわれていたレース中、今回ゴールドマウントに騎乗予定のアルベルト・サナ騎手が右肩を脱臼してしまった。10年前から脱臼癖があったというサナ騎手は、レース後に自力で肩をはめ直したのだという。無理せず、その日の残る騎乗は見合わせられたが、翌日にはケロリとした表情で筋トレをしていたのだとか。

 さらに今週の火曜日。この日もバリアトライアルが行なわれたのだが、1ヒート目で、ダンビュライトに騎乗予定のトミー・ベリー騎手の騎乗馬が、ゴール手前200mの地点で心不全を起こしたのか突然倒れ、ベリー騎手はコースに投げ出されてしまった。

 幸いにして、後続の馬に踏まれるといった最悪の事態は免れ、ベリー騎手も自力で立ち上がることができた。翌朝の追い切りに騎乗するなど元気な姿を見せていたが、大事をとって、その日のナイター開催の騎乗をキャンセル。その翌日に予定されていたダンビュライトの追い切りへの騎乗も見合わせることとなった。

 金曜日の朝、本人は「日曜日に万全で乗りたいので、水曜日と木曜日は大事をとって休んだ」と笑顔を見せていた。主催者も診断のうえ、騎乗を許可しているので、問題ないと考えたいが、やはり縁起がいいものではない。

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