「キタサンブラックが負けるとすれば天皇賞・秋」という記者の真意は? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 そもそも宝塚記念の敗因は何だったのか。

 さまざまな理由が取り沙汰されていたが、結局のところは、春のGIを連戦してきた疲れがあった、と言われる。とりわけ、長丁場でハードなレースとなった天皇賞・春を戦った疲れが完全に抜け切っていなかったようだ。前出の専門紙記者が語る。

「いつも調教に乗っている騎手が、宝塚記念のレース前に『今回は前回のようにうるさくなくて、妙におとなしい。歳を取って、落ち着いてきたのかなぁ』と言っていたんです。そして、レースが終わると、その騎手は『あの妙におとなしいと感じたのは、やっぱり天皇賞・春の疲れがあった、ということなんでしょうね』と話していました」

 馬にとって、3000mを超える長距離レースというのは、人間の見た目以上に激しく消耗するものだという。振り返ってみれば、昨年もキタサンブラックは、天皇賞・春を勝ったあとの宝塚記念で、今年ほどの大敗ではなかったものの、牝馬のマリアライトに屈して3着に敗れている。

 今年惨敗した宝塚記念については、こんな説もあった。勝ったサトノクラウンの鞍上ミルコ・デムーロ騎手にプレッシャーをかけられ、一時は外からフタをされるような場面があって、それが、そうした経験のないキタサンブラックには堪えたのではないか、というものだ。

 しかしそれこそ、疲れがあった証拠でもある。専門紙記者が言う。

「元気があったら、外からフタをされたときに弾き飛ばしていますよ。それができなかったのは、それだけ馬に元気がなかったということです」

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