ダービー1~3着馬不在の菊花賞。ならば、キセキの奇跡がきっとある (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by Yamane Eiichi/AFLO

 毎日杯後、約4カ月の休養でパワーアップしたキセキは、7月15日の3歳上500万下(中京・芝2000m)で復帰。後方追走から直線で大外に持ち出し、豪快な差し切りを決め、その成長をアピールした。

 続く信濃川特別(8月5日/新潟・芝2000m)も同様の競馬で完勝。菊花賞トライアル・GII神戸新聞杯(9月24日/阪神・芝2400m)ではダービー馬レイデオロなど春のクラシック出走馬が揃う顔ぶれとなったが、いつもよりやや前目の中団につけ、直線ではコースロスなく馬群を割ってレイデオロから2馬身差の2着に入っている。これまでの大外一気の競馬ではなく、馬群を割って伸びてきたのは、多頭数でゴチャつく競馬も予想される本番に向け、収穫のある内容だったと言えるだろう。上がり3F(ハロン)33秒9は、メンバー中最速だった。

 他馬と比べて夏競馬を使っていたという有利な面はあったが、この走りで、3歳トップレベルとは互角に渡り合えるということが証明された。復帰後のレースを見ていても、折り合いに不安はないし、2000mや2400mをこなせる馬は、3000mに距離が延びる本番にも問題なく対応できるはずだ。実力的にも好勝負に持ち込める可能性は高い。

 不安点を挙げるとすれば、前走の馬体減か。3走前が490kg、2走前が498kgと順調に馬体が増えていたが、神戸新聞杯は486kgと一気に12kgも減っていた。"細い"という印象はなかったが、これ以上減るのはあまりよくないだろう。それなりに強めの調教をしつつ、馬体を増やして出てこられれば理想だ。

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