安田記念は難病を克服した驚異の生命力、グレーターロンドンに注目 (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Nikkansports


「この馬は痛みに敏感なんですよ。だから少しでも痛いとそれをかばおうと、他の部分、例えば逆の脚であったり、筋肉の張りに影響がすぐに出るんです。これが我慢強い馬ですと、そうはならないのですが、逆に重症になることにも繋がるので、痛みに敏感なのは決して悪いことだけとは思っていません。

 そういった面も含めて、この馬の生命力には頭が下がります。入院馬房でもガレるようなことがありませんでしたし、ここにきてパワーアップしたとも感じています」

 実際に最終追い切りでも、動きに手応えを感じたという。

「完全に疲れを取って作り直しましたので、先週の追い切りでの動きは最後が少しだらしなかったのですが、最終追い切りでは3頭併せでプレッシャーをかけられながらいい動きを見せていました。普通のステップと比べると、一気に三段飛びのような挑戦ですが、GIの雰囲気に飲まれず、いい記憶としてこの馬に残れば......」

 GIだから使うのではなく、『状態がいいから使う』という点を強調した大竹調教師。謙虚な姿勢を見せながらも、状態には自信があることをうかがわせた。

 不死鳥の如くターフに戻った未完の大器が、その漲(みなぎ)る生命力によってGIの大舞台で華を開かせるか。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る