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超難解な高松宮記念で、前走大敗の
シュウジが狙えるのにはワケがある

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよ春のGIシーズンに突入していきますね。

 今年は大阪杯がGIに昇格したことで、高松宮記念から皐月賞まで4週連続、その後1週空いて、天皇賞・春から安田記念まで6週連続でGIが開催されます。その間、先週の阪神大賞典を圧勝したサトノダイヤモンドをはじめ、キタサンブラック、マカヒキ、ソウルスターリングなど、スターホースが続々と登場してきますから、本当に楽しみです。

 今週は、そんな春のGI戦線の幕開けとなる高松宮記念(3月26日/中京・芝1200m)が行なわれます。率直に言って、予想するには非常に難しい一戦です。

 昨年の覇者で、昨秋のスプリンターズS(2016年10月2日/中山・芝1200m)でも1番人気に推されたビッグアーサーは早々に回避を表明し、昨年の2着馬ミッキーアイル、3着馬アルビアーノも、今年に入ってから引退を発表。さらに、前哨戦のひとつであるシルクロードS(1月29日/京都・芝1200m)を快勝したダンスディレクターまでも、レース後に故障して回避することになりました。

 そのうえ、スプリント界の新たな"主役"と目されていたシュウジ(牡4歳)が、重要なステップレースとなる阪急杯(2月26日/阪神・芝1400m)で圧倒的な支持を得ながら8着と凡走。オーシャンS(3月4日/中山・芝1200m)を勝ったメラグラーナ(牝5歳)は今回がGI初挑戦で、昨秋のスプリンターズSを制したレッドファルクス(牡6歳)も、年末に香港スプリント(2016年12月11日/香港・芝1200m)で大敗して以来の休み明けと、出走予定の有力馬も状態面に判断しづらいところがあります。

 まさに確固たる主役が不在。各馬の状態把握も、能力比較も難しく、予想するには本当に悩まされる一戦となりました。

 それでも、実績的に最も注目を集めるのは、スプリンターズSを勝ったレッドファルクスでしょうか。

 同馬の実績は、芝でも、ダートでも、左回りに偏っています。というか、左回りにこだわって使ってきたと思います。おそらく右回りよりも左回りのほうが、明らかにスムーズに走るのでしょう。そうでなければ、ここまで極端な使い方はしないはずです。

 そう考えると、右回りのスプリンターズSは「よく勝ったな」と思えますね。同時に、右回りの香港で敗れたことは「仕方ないな」と見ることができます。

 そして、今回は左回りです。しかも、ハンデ戦とはいえ、上がり32秒7という驚異的な決め手を繰り出して勝利を挙げたCBC賞(2016年7月3日/中京・芝1200m)と同じ舞台。体調さえ整っていれば、好勝負必至でしょう。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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