左回り、距離、今季実績...不安ありの
モーリスは天皇賞・秋を勝てるのか (4ページ目)
実は血統面でもこれを裏付ける要素がある。晩成とされる父スクリーンヒーローだが、5歳時の成績は5戦0勝で、連対は天皇賞・秋での2着があるのみ。その父グラスワンダーも故障の影響があったとはいえ、5歳時は3戦0勝だった。決して早熟ではない一方で、旬が長くないのもこの血統の特徴だ。モーリス自身、本格化が遅くなったのは、気性面の成長と、デビュー前のトレーニングセール向けの強い調教のダメージから完全に回復するのに時間を要した面もある。
しかし、活路がないわけではない。
大きいのは展開のカギを握るエイシンヒカリの存在だ。どちらかといえば、「ためて逃げる」タイプではなく、スピードを余すことなく発揮するタイプのこの馬が出走することで、道中は安田記念のロゴタイプや、札幌記念のネオリアリズムがつくり出したような「ためた」ペースになりにくい。むしろモーリスにとって折り合いやすいペースが期待できる。
調整についても、前述のように変則的だった安田記念や、北海道での調整となった札幌記念と比較しても、美浦トレセンでみっちりとつくられている。20日のレース1週前の追い切りでもウッドコースで1200mから終いまでしっかりと追われた。
そして、なんといっても心強い鞍上だ。昨年の香港マイル以来のコンビとなるライアン・ムーア騎手は、今年の凱旋門賞において神がかり的な騎乗で4歳牝馬ファウンドを勝利に導いた。これまでモーリスとは3度コンビを組んでGIを2勝。いわばベストパートナーである。
逆境を乗り越え、"アジアのマイル王"から"中距離王"へ。そして、引退レースとなる香港へ、天皇賞勝利を手みやげにしたい。
4 / 4