【競馬】中山記念、ステファノスが打倒イスラボニータを実現か (2ページ目)
イスラボニータとヌーヴォレコルトは昨秋、同世代だけでなく、古馬一線級を相手に激戦を繰り広げてきました。おそらくその後の休養では、完全にリフレッシュさせるためにも、走ろうとするスイッチを切って、心身ともに一気に緩めたことでしょう。つまり、イチから仕上げ直してきた今回は、今後に向けての"たたき台"という意味合いが大きいと思います。
対して、ロゴタイプは年明けの中山金杯(1月4日/中山・芝2000m)から始動。勝ちに等しい2着と好走しました。負けた相手も、先日の京都記念(2月15日/京都・芝2200m)でキズナ(牡5歳)やハープスター(牝4歳)を退けたラブリーデイ(牡5歳)。同馬と互角の走りを見せて、改めて能力の高さを証明するとともに、一時のスランプからも脱した感がありました。
その後、ダート適性を試して根岸S(2月1日/東京・ダート1400m)に参戦。そこでは8着に敗れてしまいましたが、ここまで順調に使われているのは確かです。適性外の条件を使った反動は少し心配ですが、力があって、実績のある馬に大きな問題がなければ、最有力視すべきでしょう。
さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、ステファノス(牡4歳)を取り上げたいと思います。前出の3頭に比べて実績では劣りますが、上昇度合いでは、3頭を凌いでいるのではないでしょうか。
馬体に幅が出て、成長著しいステファノス。 2歳の夏にデビューしたステファノス。3歳の春先ぐらいまでは、決め手に欠けるところがあって、「まだまだだな」と思っていました。しかし、運よく出走できた皐月賞(5着。2014年4月20日/中山・芝2000m)辺りから、パワーアップした印象がありました。以来、さらなる上昇曲線を描いて一気に成長。白百合S(2014年5月31日/京都・芝1800m)を快勝し、秋初戦のセントライト記念(4着。2014年9月21日/新潟・芝2200m)でも、後方から急追し、勝ったイスラボニータ以上にインパクトのあるレースを見せました。
さらにその後、古馬混合重賞の富士S(2014年10月25日/東京・芝1600m)では、強烈な決め手を繰り出して、古馬のトップマイラーたちを一蹴。重賞初制覇を果たしました。そのレースぶりは、「もしかすると、イスラボニータに追いついたかな?」と思わせるほどの内容でしたね。
この馬もまた、富士S以来の休み明け。休養中の成長度と、このレースまでの調整過程がカギになりますが、セントライト記念以降、超一線級の古馬相手にハードなレースを2戦消化したイスラボニータよりも、消耗は少なかったはず。今回は、皐月賞やセントライト記念で後塵を拝したイスラボニータを逆転してもおかしくありません。
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。
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