【競馬】ユニコーンS、「人気薄」アンズチャンが狙えるワケ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
前週の6月14日から函館競馬場で北海道シリーズが開幕。夏競馬ムードが徐々に高まってきましたね。
夏競馬というと、ローカル開催となるだけに、一般のファンの方は"マイナー"なイメージを持っているかもしれませんが、競馬関係者にとっては、とても重要な時期になります。というのも、デビューを控えた2歳馬の調整や、3歳未勝利馬の生き残りを賭けた戦い、3冠レース最後の一戦(牝馬は秋華賞、牡馬は菊花賞)へ向けての態勢作りなど、この先を占う大事なレースがあったり、大切な準備期間であったりするからです。GI戦線とはまた違った真剣勝負が見られる夏競馬を、これから楽しんでいただければと思います。
そんな夏競馬が本格化する直前、上半期では唯一の3歳馬によるダート重賞、ユニコーンS(6月22日/東京・ダート1600m)が行なわれます。いわば、3歳馬の「ダート王決定戦」であり、「ダートのダービー」とも言えるレースです。
まず注目すべきは、GI朝日杯フューチュリティS(2013年12月15日/中山・芝1600m)の覇者でもある、アジアエクスプレス(牡3歳)でしょう。芝に限らず、今回と同じ東京競馬場で見せた、ダート2戦のパフォーマンスが衝撃的でした。新馬戦(2013年11月3日/東京・ダート1400m)が2着に5馬身差、2戦目の500万下特別(2013年11月23日/東京・ダート1600m)は2着に7馬身の差をつけて圧勝しました。持っているエンジンの違いは明らかで、子どもの中にひとりだけ大人が交ざってレースをしているようでしたね。
前走の皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)では6着に敗れましたが、完全な力負けではありません。出走メンバーの中で、最も積極的な競馬した結果。決して悲観する内容ではありませんでした。
その後、レースの間隔を開けたことを考えると、皐月賞当時は疲れがたまっていたのかもしれませんね。今回は、それから約2カ月間、じっくりと時間をかけて調整されてきました。東京・ダートの実績は申し分ありませんし、恥ずかしい競馬をすることはないでしょう。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。