2013.05.15

【競馬】右回りと左回り、競走馬には本当に得意な回りがあるのか

  • text by Sportiva

競走馬というのは、レース中に脚の運びの左右を何度か替えながら走っている。

元調教師・秋山雅一が教えるレースの裏側
「走る馬にはワケがある」
連載◆第3回

人間の陸上競走はすべて左回りで行なわれる。しかし、競馬には右回りもある。左右それぞれのコースで、競走馬によって得手、不得手があるのか、元調教師の秋山雅一氏に聞いてみた。

――現在、JRAの競馬場は全国に10カ所あります。そのうち、中山、阪神、京都、小倉、福島、そして北海道の札幌、函館と、7つが右回りです(左回りは、東京、新潟、中京)。これには、何か理由があるのでしょうか。

秋山 そもそも日本の競馬は、ヨーロッパを模範にして発達してきました。最近の風潮は異なりますが、かつては長距離レースが重視されていましたし、3歳クラシックはヨーロッパのレース体系の影響をもろに受けています。そして、そのヨーロッパの競馬場はほとんどが右回り。それに習って、日本では右回りの競馬場が多いのではないでしょうか。

 逆に、アメリカはほとんどの競馬場が左回りです。その理由は、以前アメリカに行った際、現地の人間に教えてもらいました。その人の話によると、人間と同じように馬も左側に心臓があって、人間も馬も心臓を内側にしたほうがスムーズに走られるからだそうです。つまり、アメリカの競馬場が左回りばかりなのは、馬がより速く走ることを追求した結果なのだと思います。

――ともあれ、日本には右回りと左回りの競馬場があります。そこで気になるのは、関係者がレース前に発する「今度は得意の左回り(右回り)のレースだから......」というコメントです。競走馬には、得意な回り、不得意な回りというのが本当にあるのでしょうか。

秋山 あります。右回りに強い馬、左回りに強い馬、それぞれいますからね。それは、競走成績にしっかりと表れます。

――どうして、得意、不得意の回りができてしまうのでしょう。

秋山 大まかに言えば、体の構造が大きな要因で、骨組みと運動神経によって決まります。人間でも、体の作りは左右均等ではなく、人によっては、左足より右足のほうが長かったり、左の肩のほうが右肩より上がっていたりしますよね。それと同じで、馬の骨組みも左右どちらかに偏っていることが多く、均等の馬はほとんどいません。その骨組みのバランスが走り方に影響して、左右どちらかの回りのほうが、得意になったり、苦手になったりします。