【競馬】ジェンティルドンナに勝った「あの馬」がヴィクトリアマイルを制す
前走の阪神牝馬Sでは4着に敗れたハナズゴール。ヴィクトリアマイルでの巻き返しが期待される。ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
古馬牝馬の春の女王決定戦、ヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)が5月12日に開催されます。
2006年に新設された歴史の浅いGIですが、過去にはウオッカやブエナビスタといった超一流牝馬も出走し、優勝馬に名を連ねています。牡馬相手にも勝ち負けできる名牝たちの参戦実績がそれだけあるのは、前後に中1週で天皇賞(秋)とジャパンカップがある秋の女王決定戦・エリザベス女王杯とは違って、その後の宝塚記念や安田記念にも無理のないローテーションで出走できるからでしょう。
ただ今年は、ウオッカやブエナビスタ級の存在が見当たりません。おまけに、GI馬のホエールキャプチャやジョワドヴィーヴルをはじめ、アイムユアーズやドナウブルーといった、GIで上位争いを演じてきた馬たちの近走成績がさっぱり。以前の活躍が嘘のように、敗戦を積み重ねています。
競走馬には、実績のある馬が何かをきっかけにして成績が悪くなるというケースがよくあります。そのほとんどは、調子が悪いのではなく、状態はいいのに気持ちが乗っていかず、敗戦を繰り返しているのだと思います。何かきっかけがあれば、また走ってくると思うのですが、そのきっかけをつかむのがなかなか難しいことなんです。
こうして実績馬が振るわない状況だけに、今年のヴィクトリアマイルは非常に難解なレースとなりましたね。
そんな中、まず注目すべき存在は、昨年の牝馬三冠レース(桜花賞、オークス、秋華賞)で、準主役を演じてきたヴィルシーナ(牝4歳)でしょう。ご存知のとおり、牝馬三冠はすべてジェンティルドンナの2着でした。その内容も着差以上に「完敗」したイメージがありますが、今回のメンバーならチャンスは十分にあると思います。
前走の大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)は、6着と初めて大敗を喫しました。デビュー以来、最高の馬体重だったことがさすがに影響したのかもしれません。それでも、勝ったオルフェーヴルを筆頭に、2着ショウナンマイティ、3着エイシンフラッシュと、先着されたのは牡馬一線級の馬ばかり。着順をそのまま評価しなくてもいいでしょう。
それに今回は、桜花賞以来となるマイル(1600m)戦です。デビュー戦が1800m、牡馬相手に勝った3戦目のエリカ賞が2000m、そして今年の使い始めのレースが2000mでしたから、中距離タイプに見られて「マイルは短いのでは?」と思われていそうですが、私の個人的な考えは逆。ヴィルシーナはマイル戦こそベストなのではないかと思っています。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。