三ヶ島かな、ツアー初優勝の舞台裏「神様はまた勝たせてくれないのか......心底思った」 (4ページ目)

  • 古屋雅章●取材・文 text by Furuya Masaaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 そのあと、(野澤)真央ちゃんと桃ぞう(大里桃子)が駆け寄ってくる姿を見て、『あー、終わったんだ』と気づいて、その時にバァーって一瞬、(感極まるものが)きましたね」

――以前、お父さまにお話をうかがった時、『優勝カップを一緒に掲げられたら、死んでもいい』とおっしゃっていました。

「まだ死なれちゃ困る(笑)。でも、あの強面の父が泣いていましたね」

――先ほど2020-2021シーズンは「"何か"を探し続けてきた」とおっしゃっていましたが、優勝してその"何か"は見つかりましたか。

「はい。でも、詳しくは内緒です(笑)。

 ただ、トーナメント開催中の食事の際に、キャディーの佐々木さんが『過去に自分がバッグを担いだ経験から、優勝争いをしている時にリーダーズボードを見ない選手は絶対に勝てない』『勝つ人は優勝争いの時に、自分と向き合って、自分と勝負するんだ』という話をされていたんですね。

 それで、『今まで勝ち負けを間近で見てきた人の言葉だから間違いない』『私も逃げちゃダメだ』と思って。優勝争いをしていた最終日は、リーダーズボードをずっと見ながらプレーしていました。実際にボードを見ると緊張して、なんてことないバーディーパットとかパーパットを外したりしたんですけど、それでも『絶対に逃げちゃダメ』っていう気持ちでやっていました。

 そうして、15番でボギーを打ったあとも逃げずに、16番では自分に向き合ってティーショットを打てた。それは、今までの私にはなかったことです。自分に向き合うと、自分のことだから嫌なところとかも全部見えるじゃないですか。でも、それに対してちゃんと向き合っていくという、なんか新しいことをしたな、という気がします」

(つづく)後編はこちら>>

この記事に関連する写真を見る三ヶ島かな(みかしま・かな)
1996年7月13日生まれ。福岡県出身。2016年シーズンにTPD単年登録者としてツアーデビュー。2017年シーズンに賞金ランク41位となってシード権を獲得すると、以降はシード常連選手として活躍。2018年にプロテスト合格。2020-2021シーズンのJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップで悲願のツアー初優勝を飾った。身長164cm。血液型AB。

撮影協力:PALM SPRINGS

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