【木村和久連載】不祥事続きのアマスポ界。根源は大学スポーツにある (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 その点、アメリカの大学は、入学するのはわりと簡単ですが、卒業するのが難しいと言われています。あのタイガー・ウッズでさえ、大学を卒業するために勉強期間を設けて、ゴルフを休まざるを得ない期間がありました。それぐらいシビアです。

 日本の大学スポーツで活躍するアスリートも、もう少し勉強したほうがいいと思いますけどね。あくまでもスポーツは、大学の課外活動のひとつですから。大学に在籍していることを、すっかり忘れている人、多いですよね。

 だいたい、大学生には成人もいるのですから、机に向かって勉強するだけでなく、社会通念や世間の常識などももっと学んで、どこに出ても恥ずかしくない人格を形成してほしいものです。

(2)キャンパスより合宿所に長くいる
 実力のある運動部は合宿所があり、そこに寝泊まりしながら、スポーツに勤しみます。有名なのは、東北福祉大学のゴルフ部の合宿所です。近くにゴルフ場があって、そこでほぼ打ち放題。そりゃ、こんだけ環境がそろっていれば、うまくなりますよ。

 かつては、日大ゴルフ部が全盛でした。当時を知るOBの方からお話を聞いたことがあるのですが、実は全体の練習日というのは、ほぼ週末だけだったそうです。キャンパスが点在していて、部員もいろいろなところに散らばっているので、平日は「個別に練習をやっていることが多かった」と言っていました。

 結局、日大が強かったのは、優秀な人材が入学し、在籍していたからです。

 それが今では、どのスポーツも毎日練習できる環境が整備されていないと、強い選手は育ちません。当然ながら、合宿所中心の生活となると、大学生本来の生活ができなくなりがちです。これも、善し悪しですね。

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