またも最終日の悪夢。R・ファウラーが天国の少年に届けたかったもの (2ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 終盤の15番パー5でティーショットを池に入れてボギーを叩くと、続く16番パー3では2m半のパーパットを逃してボギー。さらに、距離の短い17番パー4で再びティーショットを池に打ち込んで3連続ボギーとし、優勝争いから脱落するとともに、一気に順位を落とした。

「悪いスイングも、悪いショットもなかったのに......。アンラッキーな部分があった。やること、すべてが裏目に出てしまった」(ファウラー)

 PGAツアーにおいて、ファウラーが最終日を首位(タイも含む)で迎えたのは、今回で6回目。そのうち、勝利を収めたのは、2017年ホンダクラシックの1回だけだ。

 つまり、ツアー通算4勝のうち、3度は逆転優勝。メジャーもトップ5には7回入ったことがあるが、いまだ勝利はない。その結果、今や「ファウラーはプレッシャーに弱いのでは?」と、論調が大勢を占めている。

 ただ実際のところ、昨年のPGAツアーでも、54ホールを終えて首位に立った選手が勝利したのは、わずか27%である。最終日をトップで迎えて、そのまま優勝を飾るのは、それだけ難しいということ。プレッシャーを抱えて勝つことは、誰にとっても容易なことではないのだ。

 一昨年、松山にプレーオフで負けたとき、ファウラーは涙を流していた。観戦に訪れていた祖父の前で何としても勝ちたかったのだが、それを惜しくも果たせなかったからだ。悔し涙を流したあと、「ヒデキ、またやろうな」と松山に声をかけてコースを去っていったファウラーの姿は今でも忘れられない。

 ファウラーの祖父は日系人の田中豊さん。その祖父は、今年も元気な姿でコースを歩いてファウラーの雄姿を見守っていた。ゆえに、ファウラーの士気は今回も高かったが、実は今年はもうひとつ、ファウラーには勝ちたい理由があった。

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