「イ・ボミは燃え尽きた説」を否定。2018年はもっと自分に厳しく (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 さらにもうひとつ、不調の要因がある。専属キャディーの清水重憲氏が挙げたのは、パットだ。

「体力が落ちれば落ちるほど、その影響が出やすいのがパットなんです。パターを打つときは、体を動かしてはいけません。でも、疲れているときほど、『動くな』と言われるとしんどいですよね? 疲れがあると、パットはブレるのです」

 疲れがたまると、体の動きに微妙なズレが生じて、それがパットに影響していたと清水氏は言う。

 数字を見ても、パットが不振だったことは明らかだ。2017年のイ・ボミの平均パット数は、1.8081(17位)。これは、日本ツアーに参戦して以降、自身ワースト記録であり、「1.8」台を記録するのも初めてのことだった。

 そうしたショットの乱れやパッティングのズレは、心と体の疲れからくるものだった。イ・ボミを間近で見守ってきた母のファジャさんが語る。

「2016年にボミが2年連続で賞金女王のタイトルを獲ったあと、(彼女は)オフもすごく疲れていました。加えて、2017年のシーズンが始まっても調子が上がらなかったのは、相当な重圧があったからだと思います。試合で勝たなければいけないというプレッシャーもそうですが、一番は『ファンの期待に応えなければいけない』という責任感です。それが強すぎて、結果が出ないと(彼女は)どんどん落ち込んでしまって......」

 キャディーの清水氏もこう振り返る。

「ボミは、ストレスを発散して調子を上げるタイプではありません。(逆に)成績を上げたり、優勝したりして、ストレスを発散していくタイプ。(彼女は)スコアが悪いと、ゴルフを楽しめていないことがよくわかりました」

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