宮里藍がアメリカ最終戦で今季最高。「奇跡のラスト優勝」も見えてきた (2ページ目)

  • 武川玲子●取材・文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 今大会のコースとは違うが、2010年に同じポートランドの、かつては全米アマチュア選手権も開催されたことがあるパンプキンリッジで行なわれたセーフウェイクラシックで、宮里は優勝している。その年の5勝目であり、ツアー通算6勝目だった。

 この年、宮里は6月に世界ランキング1位となった。その後、クリスティー・カー(アメリカ)にその座を奪われたが、このポートランドで行なわれたセーフウェイクラシックで優勝したことで、再び世界トップの座に就いたのだ。

 当時は宮里藍を筆頭に、カー、ヤニ・ツェン(台湾)、チェ・ナヨン(韓国)、申ジエ(韓国)といった上位5選手が、世界ランキング1位の座とプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを巡って熾烈な争いを繰り広げていた。プレーヤー・オブ・ザ・イヤーは惜しくも逃したが、宮里にとってこの年はキャリア最高の1年だった。

 世界最高峰の舞台で何度となく優勝し、世界のトップにも立った宮里。身長155cmと小柄ながら、どうしてここまで強くなれたのか?

 それは、ゴルフへの取り組みを大きく変えたからだった。宮里が言う。

「米ツアーに来て、飛距離を伸ばしたくてスイング改造をしてしまった。それが、結果的には自分の感覚をなくすことになった。それから、ようやくドライバーが復調してもなかなか勝つことはできなかった。

 そんなときジエが、飛距離がなくても世界一になった。なぜか? それは(優れた)小技。やっぱり、それが大事だとわかった。それまで、ショットの練習にばかり時間を費やしていて、アプローチ、パットの(練習)時間がなかった、と気づいたんです」

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