「賞金ランクより、とにかく優勝」米国帰りの有村智恵が心機一転 (3ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

「ゴルフはとにかく長時間、傾斜もあるコースを歩くので、18ホールを回った後の体の状態がすごく変わりましたね。いままでシューズに無頓着で、足が痛んだり、張ったりしても自分のせいだと思っていたけど、シューズでこんなに違いがあるのかと驚きました。いままでは結果を出すには、とにかく練習して努力してと考えてきたけど、ここから先は年齢的にも体を鍛えて追い込んでも、自分ひとりの力だけでは若い世代と戦えなくなっていく。だから、シューズにしろ、ギアにしろ、頼れるところは道具の力もどんどん借りて、いろんなサポートを受けながら戦っていきたいと思うようになりました」

 有村が今シーズン見据えているのは、「賞金ランキング何位というよりは、とにかく優勝したい。それに尽きます。1勝もできずにシーズンで何億円も稼ぐよりも、1度の優勝がほしいです」と、2012年に悲願の国内メジャー初制覇となった『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』以来5年ぶりとなる優勝だけだ。

 これほどまでに優勝を渇望するのは、「優勝がかかる極限のプレッシャー状態でパットを決めたときの快感をもう一度味わいたい」こともあるが、それ以上に「地元中の地元であった熊本地震の被災者に勇気を与えたい」という強い想いがある。

 昨年4月14日に熊本で最初に発生した震度7の地震の影響で、同日から熊本CCで開催予定だった『KKT杯バンテリンレディスオープン』は中止となった。熊本県嘉島町の実家に滞在していた有村も被災し、大会中止後も1週間ほど熊本にとどまって復旧作業や避難所での支援活動にあたった。

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