モハメド・アリとゴルフ界「偉大なる王者」をタイガー・ウッズらが追悼 (3ページ目)

  • text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN
  • photo by PGA TOUR

 1942年、ケンタッキー州ルイビルに生まれたアリ。本名は、カシアス・クレイ。イスラム教に改宗してから、『モハメド・アリ』と改名した。

 アマチュア時代、1960年ローマ五輪で金メダルを獲得。その後、プロに転向し、1964年にソニー・リストンを倒して世界ヘビー級王者となった。しかし、ベトナム戦争での徴兵を拒否したことから、アメリカ政府と対立。あらゆるタイトルをはく奪され、ボクシングライセンス停止といった圧力まで政府からかけられた。最終的には、アメリカ最高裁判所の無罪判決が出るまでの4年間、アリは戦いの場を失っていた。

 リングに上がれない日々、アリはベトナム戦争に反対し、人種差別撤廃のために、さまざまな運動を行なった。これらもまた、彼の“戦い”のひとつである。

 そして、再びボクシングのライセンスを手にしたアリは、1971年に復帰。以降、伝説となる名勝負を繰り返し、通算3度のヘビー級王者に輝くとともに、19度の防衛に成功した。

 そんなアリが、初めてゴルフクラブを握って、ショットをしている秘蔵写真がある。1974年、カリフォルニア州のゴルフコースで、アメリカの『ゴルフダイジェスト』誌によるインタビューを受けたときのものだ。

 同誌のヘッドプロから8番アイアンを手渡されると、「どうやって握るんだ?」と尋ねたアリ。プロからクラブの握り方を教わると、「それからどうするんだ?」と再び聞いた。

 その問いには、隣にいたアリのトレーナーが答えた。「チャンプ、それでボールを打つんだ」と。すると、アリは我流のスイングながら、ありったけの力でボールを引っぱたいた。

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