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「メッシ以外のフィールド9人で守る」が大成功 アルゼンチンは完全なチームになった (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

【伝統の守備力と技巧でメッシを支える】

 アルゼンチンはメッシ以外の10人でひとつのチームとして機能させることにした。メッシはイチゴのようにポツンとチームに乗っけるだけ。メッシに守備はさせず、残りのフィールドプレーヤー9人で守り、ボールをメッシまで届ける。そしてメッシが得点を生み出す。

 MFロドリゴ・デ・パウルは"メッシ専用機"と化した。メッシの背後を守り、メッシがほしがっていればいつでもボールを渡す。デ・パウルほど直接的でなくても、他のチームメイトもメッシを支えるために働いている。

 デ・パウルのいる右サイドの反対側の左サイドには、隠れウイングを置く。前回このポジションを務めていたアンヘル・ディ・マリアの跡を継いだのは、ティアゴ・アルマダ。センターフォワード(CF/ラウタロ・マルティネスまたはフリアン・アルバレス)、メッシ、アルマダの3人がアタッカーだが、左のアルマダはMFの守備ラインに組み込まれていて、CFも守備タスクを負っている。守備時にはメッシだけが切り離される。

 メッシがいるのでハイプレスはほぼできない。中盤からの待ち受け守備が基本。しかし、アルゼンチンはハードな守備力が伝統だ。待ち受け守備なので相手にはある程度ボールを保持されてしまうのだが、そこは持ち味の守備力で乗りきる。メッシ以外に守らない選手、守れない選手がいない。

 一方、ボールを持てば巧みだ。こちらも伝統。保持率は大して上がらないが、保持力自体は高い。ボールを奪った後の相手のカウンタープレス回避は屈指のハイレベル。しっかり運べる。あとはメッシの出番だ。

 技巧派は多いがまず守備力。そこが弱ければ「イチゴ」は載せられない。

 全く別の物体であるイチゴを、そのまま載せることでショートケーキが成立しているように、アルゼンチンは完全なチームになった感がある。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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