「メッシ以外のフィールド9人で守る」が大成功 アルゼンチンは完全なチームになった (2ページ目)
【イチゴとショートケーキの関係】
18歳で2006年W杯に出場したメッシは、スーパーサブ的な扱いだった。疾風のウイングという印象。
4年後の2010年はディエゴ・マラドーナ監督の信頼を得てトップ下に据えられた。得点よりもアシストに回るような役回り。この大会は1点も取っていない。
2014年、ここからアルゼンチンはよりメッシ仕様になっていく。4得点で決勝まで牽引したが優勝はできなかった。
2018年、完全にメッシのチームになっていたが1得点にとどまる。ラウンド16で、この大会で優勝するフランスに敗退。これが最後のW杯になると思われた。
バルセロナの育成機関で育ったメッシにはアルゼンチンリーグでの実績がなく、母国ではどこか外国人選手に対するような眼差しが向けられていたものだ。バルセロナでの超人的なプレーを代表で再現できないこともファンを苛立たせていた。
やがてメッシは卓越したプレーでチームを牽引し、完全に中枢となっていったが、チームとメッシの間には依然としてわずかな隙間が感じられたままだった。バルセロナとの違いを埋めようとして埋まらなかった。
その微妙な隙間が完全に埋まったのが2022年大会である。
なんと、アルゼンチンはチームから完全にメッシを切り離してしまった。だが、懸命に融合を試みて埋まらなかった隙間が、これで埋まったのだから皮肉なものだ。まるでイチゴのショートケーキだった。
イチゴが乗っかっていなければショートケーキではない。しかし、イチゴとその他の部分は完全に別々の物体だ。ほぼ何の加工もされず、ただ果物としてのイチゴが乗っているという不思議な調和の仕方である。ショートケーキにイチゴは不可欠だが、イチゴだけならそれはケーキではない。
2 / 3


