サッカー界の二大スーパースターが10代の「若手」だった頃 ロナウドは快活に語り、メッシの声はとても小さく... (2ページ目)
【22年前のクリスティアーノ・ロナウドインタビュー】
「若手選手」という意味で僕の記憶に残っているのはクリスティアーノ・ロナウドだ。彼がまだ10代の「若手」だった20年以上前の話である。
2003年の春、僕はポルトガル取材に行った。当時、ポルトガルは次期EURO(2004年)開催国としてスタジアムの建設ラッシュで、ベンフィカ、スポルティング、ポルトの3大クラブも新スタジアムを建設中だった。
ポルトガルはサラザール首相の独裁政権時代にアフリカ植民地の独立を認めず、経済制裁を受けて欧州のなかでは経済的に貧しい国だった。そのため、スタジアムはいずれも屋根もまったくない旧式のものばかり。当時のポルトガルのサッカー人はフランスやドイツに対して劣等感のようなものを抱いていたようで、こうした国々のことを話す時に「欧州では......」という言い方をした。まるで、「自分たちは欧州ではない」と思っているようだった。
しかし、EURO開催国になったことでポルトガルにも多くの近代的なスタジアムが建設され、ポルトガル人は自信を取り戻した。
旧スタジアムの横にあった練習場を取り壊して新スタジアムを建設。古いスタジアムは解体して、跡地にオフィスビルを建設することで利益を生み出し、郊外に土地を入手して広大なトレーニングセンターを建設する。それが共通したスキームだった。
そんななかで、いち早くトレーニングセンターを完成させたのがスポルティングだったので、その取材に行ったのだ。
育成担当コーチなどの話を聞いてから、練習に励んでいる若手選手の話も聞こうと思って広報にお願いをした。僕は、無名の若手が来るものと思って待っていたら、広報の女性が連れてきたのはなんとクリスティアーノ・ロナウドとリカルド・クアレスマだった。
「われわれの期待の若手です」と広報の女性。
たしかにこの時、クアレスマが19歳、ロナウドが18歳。バリバリのティーンエージャーだったが、すでにふたりともトップチームのレギュラーであり、ロナウドのほうはすでにフル代表でもデビューしていたし、クアレスマもこのインタビューの数カ月後に代表デビューを果たした。
僕は若手選手にトレーニングセンターができて変わったこととか、コーチとの関係などについて訊くつもりだったのだが、有名選手が現われたので慌ててふたりのプレーや少年時代の思い出といった内容に質問を切り替えた。
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