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リバプールの16歳、リオ・ングモハの衝撃 欧州トップクラブに次々と驚愕の10代が台頭 (2ページ目)

  • 取材・文●井川洋一 text by Igawa Yoichi

【「まだまだ成長の余地を残すが、あれほど活躍したなら称えられるべき」】

「16、17、18歳の若手が試合で活躍するのを見るのは、いつだっていいものだ」と試合後にリバプールのアルネ・スロット監督は語った。

「ただし、今日の試合ではマッカ(アレクシス・マカリステル)やカーティス(・ジョーンズ)にパスを出すべき時があったので、まだまだ成長しなければならないところがある。とはいえ、16歳の選手があれほどのインパクトを残せたなら、称えられてしかるべきだ」

 フットボールの本場の人々は、若手が少し活躍したくらいで、異常に騒いだり、持ち上げたりすることはない。どんなに大きな才能を宿している原石でも、丁寧に磨き上げなければ、第一線で光り輝くことはないとわかっているからだ。就任1年目にリバプールをプレミアリーグ優勝に導いたこのオランダ人指揮官も、努めて抑制したトーンでチームに現れた超新星について語っていた。

 ただし、スロット監督こそ、およそ1年前にチェルシー・ユースから加入したングモハをファーストチームに引き上げ、今年1月のFAカップのアクリントン・スタンリー戦でシニアデビューさせた張本人だ。この時、ングモハは16歳135日で、イングランド随一の名門クラブの最年少先発出場記録を塗り替えている。

 そして、このプレシーズンツアーにも帯同し、初戦で衝撃的なパフォーマンスを披露した。しかも、この日は前線の主力のひとりだったルイス・ディアスのバイエルンへの移籍が正式に決定。28歳のコロンビア代表を移籍金約129億円で放出して、下部組織上がりのイングランドU-17代表と世代交代できるなら、これほど理想的なことはない。

 それにしても、なぜチェルシーはこんなに特大のタレントを手放したのか。3年前にクラブを買収したアメリカ人オーナーたちはこれまで、手当たり次第に若手を獲得してきた。その一方で、2023年夏にはその2年前のチャンピオンズリーグ優勝に主力として貢献したメイソン・マウント──チェルシー・ユースの出世頭だった──をマンチェスター・ユナイテッドに放出するなど、自前で育てた選手を軽視しがちだ。ディストレスト債券(経営破たんや経営不振による財務危機に陥り、行き詰っている企業に対する債権)などで巨額の財を築いた投資会社を中心とする経営陣としては、獲得の際に移籍金がかかっていないアカデミー出身者を売却するのが、もっとも実入りの良い商売と考えているのだろう。ファンの心情などは二の次にして。

 実際、チェルシーは今夏にパルメイラスから18歳のエステバンを獲得しており、前線の若手をまたひとり増やしている。クラブW杯では移籍先のチェルシーを相手にゴールを挙げたように、このブラジル人アタッカーも欧州での活躍が期待されている。

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