バルセロナがチャンピオンズリーグで見せた「誇るべき敗者」の姿 クラシコで今季の集大成へ (2ページ目)
【交代のカードが効果的でなかった】
なかでもヤマルは傑出していた。インテルのフェデリコ・ディマルコ、アレッサンドロ・バストーニ、ムヒタリアンの3人が包囲網を作ってきたが、魔法でも使ったように無力化。何度もシュートやパスで決定機を作った。左足でファーに巻く芸術的軌道のシュートを打ち、GKヤン・ゾマーのビッグセーブで止められた。しかし、リオネル・メッシを懐かしむ必要がないほどの突破力だ。
ペドリは連戦での疲れも出たが、サッカーIQの高さは際立った。キック&コントロールの技量が飛び抜けているだけでなく、守備でボールを突き出し、奪ったボールを迅速につなげ、判断や選択で違いを見せた。彼がボールを触ることで、落ち着いてボールを前に運べたし、決定機にもつながった。エリック・ガルシアの得点も彼を経由。その後、エリック・ガルシアがボレーを狙ったカウンター(これもGKゾマーがセーブ)も同じだ。
このふたりは間違いなく今シーズンの世界のベストイレブンに入るし、バロンドールの最有力候補だろう。
一方、インテルも"彼らの正義"で対抗してきた。2トップの高さやパワーを軸にショートカウンターや単純なゴールキックがスイッチだった。延長戦の決勝点は象徴的で、GKのロングキックを、メフディ・タレミがフレンキー・デ・ヨングにヘディングで競り勝って、マルクス・テュラムがドリブルで奥まで運び、折り返しをタレミがポストに入り、落としたボールをフラッテージが叩き込んだ。
圧倒的に攻め続ける"正義"で挑んだバルサが、最後は刀折れ矢も尽きた格好か。
あえて敗因を探るなら、インテル戦は交代のカードが効果的ではなかった。ロベルト・レバンドフスキは故障明けで、試合をクローズさせるつもりの投入だったのだろうが、直後に失点し、延長で活躍を望むのは酷だった。ロナウド・アラウホはイニゴ・マルティネスと代わって入ったが、守備は不安定になった。フェルミン・ロペス、エクトル・フォルト、パウ・ビクトル、ガビも状況を好転させられていない。
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