久保建英は「いたずらを発明」と現地紙が称賛 レガネス戦スーパーゴールには伏線が (3ページ目)
久保は、そんな物語を作れる選手と言える。
「タケは同じ左利きアタッカーでも、(アントワーヌ・)グリーズマン(2009年から14年までラ・レアルでプレーしたフランス代表。現在はアトレティコ・マドリード所属)とはあまり似ていない。グリーズマンは強度が高い選手で、アップダウンをしながらハードなプレーでゴールに向かうアタッカーだった。一方、タケは『chispa(火花、ひらめき)』の選手。一瞬が勝負、アクセルとブレーキのところで上回り、相手を翻弄できる。ドリブルに入ると手がつけられない」
久保のドリブルは、火花が散るような錯覚を受ける。電光石火、一瞬で相手を斬り捨てる。剣豪のような太刀筋だ。
「その点、(あえて比較するなら)タケは(カルロス・)ベラ(2011年から17年までラ・レアルに在籍したメキシコ代表のFW)と少し似ている。ベラは左利きで、とにかくドリブルが好きだった。相手のファウルを誘ってイエローを出させたりしたし、FKを蹴ることもできた。閃光を放つというか、クイックネスも共通しているかな」
もっとも、もはや久保はスケール感でベラをしのぐだろう。
中2日の後、彼はスペイン国王杯準決勝でレアル・マドリードと決戦に挑む。レガネス戦は相手選手とのやりとりで激高し、イエローカードを食らったことで、ラ・リーガの次節バルセロナ戦は出場停止になった。しかし、これで照準がはっきりした。レアル・マドリード戦のあとはELのマンチェスター・ユナイテッド戦だ。この2試合で勝負を決めるゴールを決められたら、物語は歴史になる。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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