久保建英は「いたずらを発明」と現地紙が称賛 レガネス戦スーパーゴールには伏線が (2ページ目)
【レジェンドが語る久保の特長】
昨シーズン、現地サン・セバスティアンで久保についてラ・レアルのレジェンドたちに話を聞いたことがあった。
「タケをひと言で称するなら、『Versatil(汎用性が高い、ポリバレント)』だろうね。とにかく、なんでもできる選手だ」
ラ・レアルを代表するゴールゲッターであるイマノル・アギレチェは、そう語っていた。たび重なるケガで31歳での引退を余儀なくされたが、ラ・レアルをCLに導くゴールを決めるなど、「下部組織スビエタの傑作」と言われるストライカーだ。
「タケはテクニックのレベルが非常に高い。俊敏性もあって、稲妻を連想させる。ドリブルでのリズムチェンジが人並み外れているから、相手を置き去りにできるし、堅い守りも崩せるのさ。小柄だが、フィジカルの強さを90分間のなかでずっと出せる。相手ディフェンダーへのプレスを高い強度でリピートした後、攻撃の精度が落ちないのは、本当に驚きに値するよ」
アギレチェはそう激賞していたが、ドリブラーにありがちな技への執着がない点を評価していた。
レガネス戦も、久保は左サイドバックのアルティミラに死に物狂いのマークを受けたが、子ども扱いだった。とにかくボールを失わない。たとえ失っても即時奪回。そして何度もよろめかし、もてあそんでいる。過去や現在のJリーグにも「うまい」と言われる選手は大勢いるだろう。しかし、この強度でうまさを出せる選手はひとりもいない。比べるのもバカバカしいほどだ。
「自分はストライカーだったけど、『準備していれば、ラストパスやクロスが入ってくる』とタケを信じられるね。その信頼をチームメイトに与えられているのは大きい」
アギレチェは言うが、その信頼関係があってこそ、ゴールにもつながるのだ。
レガネス戦後も、久保はスーパーゴールが大きくメディアで取り上げられるだろう。しかし、そこに至るまでも、周囲とのコンビネーションを使い、インサイドに何度も切り込んでいる。その繰り返しによって、敵は警戒して動きが鈍り、味方は信じてポジションを取れていた。そのゴールは、たったひとりで一瞬にして生まれたように映るが、実際は伏線があったのだ。
2 / 3