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久保建英が見せたハイレベルな能力 レアル・ソシエダ大勝でヨーロッパリーグ16強へ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【得点の予感が漂うCKを連発】

 もっとも、要所では個の技量も際立っていた。

 開始早々、久保は下がってパスを受けると、間合いを測りながら左足で右サイドを走るアンデル・バレネチェアに長いパスを送っている。その角度、タイミング、高さは逸品だった。相手ディフェンダーが対応しにくいところにボールを落とし、バレネチェアがシュート。GKレッスルに阻まれたが、最初の決定機だった。

 こうしたワンプレーが、試合の流れを決める。

 5分、ミッティランはラ・レアルのプレスに慌て、バックパスのミス。これをブライス・メンデスが難なく押し込んだ。さらに18分、カウンターからルカ・スチッチが追加点。難なく2点をリードした。

 ただ、これで"上級生"のラ・レアルは驕ったか。やや集中力が落ち、プレーがアバウトになり、軽率なPK献上と、パスミスからたて続けに失点。同点に追いつかれる。

 そして、再び久保が輝く。

 44分、右サイドで相手ふたりを引きつけるドリブル。エリア内でフリーになったバレネチェアへパスをすると、シュートはGKレッスルに再び阻まれたが(この試合、レッスルがいなかったらさらなる大差がついていた)、その後の左コーナーキックだった。久保が左足で蹴ったボールをスチッチがペナルティアークで受け、左足で叩き込んだ。ハイレベルでは、CKでペナルティアークに守りの人間を置かないのは失点に直結する。その点でもミッティランは戦術的に幼かった。

 久保はセットプレーのキッカーとしても、大いに脅威になっていた。この日はいつものキッカーであるセルヒオ・ゴメスが欠場。結果として、キッカーを任されていたわけだが、普段からなぜ久保が蹴らないのか。セルヒオ・ゴメスは優れたキックの持ち主だが、まったくハマっていない。久保は逆転弾だけでなく、アリツ・エルストンドの完璧なヘディングなども演出。際どいボールだからこそ、こぼれ球がシュートにつながるなど、得点の予感が漂っていた。

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