バルセロナのヤマルはメッシの要素も取り入れた「ハイブリッド・ドリブラー」 松井大輔が分析 (3ページ目)
【ヤマルのテクニックを習得するには?】
ドリブラーにとって、相手が食いついてくれるほどありがたいことはありません。相手が寄せてきたら、自分からフェイントを仕掛けて相手の重心を傾け、その逆を突けばいいだですから。単に向かってくる人を避けるだけ、という感覚です。
メッシもそうですが、ヤマルには高度なシュート技術があるからこそ、相手はさらに止めにくくなってしまうのです」
松井氏が指摘したように、たしかに今シーズンのヤマルは昨シーズンと比べて、プレーの幅を広げた印象がある。それによって、特に中央エリアでボールを持った時は、ドリブル突破なのか、シュートなのか、スルーパスなのか、相手にとっては次のプレー選択が読みにくくなっていることは間違いないだろう。
では、ヤマルのようなドリブルテクニックを身につけるためには、何が必要なのか。最後に、指導者目線で松井氏に説明してもらった。
「試合中にサイドエリアでボールを持った時は、自分から仕掛けていかなければならないシーンが多いので、おおよそ相手の2歩手前くらいからスピードアップして右か左を抜き去りますが、その前にフェイントを入れることが大事になります。
もちろん足が速ければスピード勝負もありですが、そこまでのスピードがないなら、抜く前のフェイントの技術と、フェイトを入れるタイミングとその間合いを、練習で身につける必要があります。
それとスペースが狭い中で抜き去る場合は、ボールの置き場所と自分の間合いを身につけることから始めるべきでしょう。どこにボールを置けば相手に取られないのか、1対1を繰り返してその場所と間合いを感覚として掴むこと。その次に、フェイントを入れて相手に食いつかせたうえで、その逆を突破する感覚を習得するといいと思います」
(第4回につづく)
【profile】
松井大輔(まつい・だいすけ)
1981年5月11日生まれ、京都府京都市出身。2000年に鹿児島実業高から京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)に加入。その後、ル・マン→サンテティエンヌ→グルノーブル→トム・トムスク→グルノーブル→ディジョン→スラヴィア・ソフィア→レヒア・グダニスク→ジュビロ磐田→オドラ・オポーレ→横浜FC→サイゴンFC→Y.S.C.C.横浜でプレーし、2024年2月に現役引退を発表。現在はFリーグ理事長、横浜FCスクールコーチ、浦和レッズアカデミーロールモデルコーチを務めている。日本代表31試合1得点。2004年アテネ五輪、2010年南アフリカW杯出場。ポジション=MF。身長175cm、体重66kg。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
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