バルセロナのヤマルはメッシの要素も取り入れた「ハイブリッド・ドリブラー」 松井大輔が分析 (2ページ目)
【小学生の僕も公園でその感覚を学んだ】
そしてもうひとつが、スペースが少ない場所でドリブル突破を図る場合によく見せる、いわゆる『後出しじゃんけん』のパターン。これはメッシのドリブルでも説明したドリブルテクニックですが、ヤマルもそれを得意としています。
この場合は、細かいステップでボールを体から離れない場所に置いて、ボディフェイントなどを使いながら相手に食いつかせ、その逆を取って抜き去るというテクニックです。理論的には、相手の出した足の逆、または相手の重心の逆に抜いていくのが基本ですが、実際はもっと感覚的にそれができるようにならないと、トップレベルでは通用しません。
ヤマルの少年期の映像を見るとよくわかりますが、小さい頃からその感覚を磨いていたからこそできるテクニックと言っていいでしょう。僕の場合も小学生時代から公園などで1対1の練習をすることで、その感覚を学びました」
スペースがある時とない時を見極めたうえで、スピードに乗ってドリブル突破もできれば、メッシのように狭い場所でも相手の逆を取りながら抜き去ることができる。そういう意味で、ヤマルは「ハイブリットなドリブラー」と言えるのかもしれない。
松井氏曰く、そんなヤマルのドリブルをさらに厄介なものにしている大事なポイントがあるという。
「最近のウイングは、ただ足が速いとか、ドリブルがうまいだけでは通用しなくなってきました。クロスもうまくなければいけませんし、カットインしてからのパスやシュートの技術も高くないと、トップレベルの試合では簡単に止められてしまいます。
そういう点で、今シーズンのヤマルを見ていると単なるドリブラーではなく、高度なパスも出せるし、シュートのうまさも際立っている。トップレベルの試合に慣れてきたことで、おそらく子どもの頃にできていたことができるようになってきたのだと思います。
特に相手のペナルティエリア付近にドリブルで入っていった時、ヤマルには高精度のシュートもあるので、相手は間合いを詰めなければゴールを決められてしまいます。そうなると、先ほど話した『後出しじゃんけん』のドリブルテクニックの威力が増すわけです。
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