なぜプレミアリーグ王者のマンチェスター・シティは勝てなくなった? グアルディオラ戦術の終焉か (3ページ目)
【ライン間を封鎖される】
プレミアリーグ第11節、ブライトンもまたシティ対策を徹底している。
守備陣形は、スポルティングが前半に行なって効果がいまひとつだったものと同じ。シティの3+2のビルドアップ隊に3トップ+2ボランチの5人で対する。スポルティングと少し違っていたのは、5バックを高めに配置していたことだ。
シティの5人のビルドアップに対して5人を当てているので、ブライトンのボランチが前に出た時点で、5バックとボランチの間でシティのインサイドハーフがフリーになる。そしてこれこそがシティのビルドアップ時の狙いであり、ライン間で浮くフォーデン、イルカイ・ギュンドアンへボールを入れることで崩しのスイッチを入れる。
ところが、ブライトンは中央の3人のDFが適宜に前進してライン間へのパスを迎撃した。センターバック(CB)の前進守備によるライン間封鎖は今や定石になっている。フォーデン、ギュンドアンがそうであるように、小柄な技巧派を巨体のCBがファウル覚悟で潰す。もともとリオネル・メッシ対策として出てきたやり方は、メッシ本人に効果はなかったものの、一般的には非常に効果的だった。この試合でも一定の効果を発揮して1失点に抑え込めている。
ライン間封鎖に対して、シティはより多くの人数をライン間に投入して流動化させ、潰しにくる相手DFに的を絞らせない攻め方をしている。これは今季のバルセロナも同じで、「ライン間対策」への対策として有効でもあった。ただ、それと引き換えに失ったものもあり、それはシティ側の問題と言える。
通常、シティはふたりをライン間に配置するが、さらに人数を増やす。つまりウイングが中へ入る、ボランチを上げる、それ以外の選手を上げる、そのいずれかになる。
第12節のトッテナム戦では、右ウイングにリコ・ルイスを起用した。リコ・ルイスはライン間要員だ。リコ・ルイスが中へ入るので右で幅をとる役割はカイル・ウォーカーだった。結果的にシティは右サイドの攻撃力を失っている。ライン間とサイド。この両面攻撃が相乗効果を上げてきたのに、サイドを失ったことでライン間も失っていた。
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