サッカー日本代表入りにも期待したい大器 チェイス・アンリをシュツットガルトの名将も積極起用

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

 チャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第2節、シュツットガルト対スパルタ・プラハ。チェイス・アンリがピッチに立ったのは62分、パスカル・シュテンツェルに代わって右サイドバックに入った。

 レアル・マドリード戦に続いて、CLで2戦連続の出場。それでも本人は「なんとも思ってないっす。出られてうれしいですけど、あとはとりあえず、また練習からがんばればいいかなと思います」と、試合の出場自体は喜びつつも、特筆すべき結果を残せなかったことを残念に思っている様子だった。

2戦連続でCL出場した20歳のチェイス・アンリ photo by AFLO2戦連続でCL出場した20歳のチェイス・アンリ photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る チェイスが投入された時間帯、試合は1-1で推移していた。CLでまだ勝利のないシュツットガルトにとっては、ホームの6万人の大声援のなかでどうしても勝利を掴みたい第2戦だった。

 そんな試合の交代で一番手として出場した選手が、チェイスと前線のクリス・フューリッヒだ。だが、チェイスいわく「指示は特にないっす」とのこと。「サイドバックの仕事は攻撃面での貢献だ」と考えたチェイスは、積極的に攻撃参加を試みた。

 シュツットガルトのこの日のシステムは4-2-3-1。チェイスの前でプレーする右MFのエンゾ・ミロが外に張ってプレーすることもあり、チェイスは中から高い位置を取った。

 それでも、流れのなかでチャンスに絡むことは難しかった。唯一、チャンスらしいチャンスは66分、右CKの流れからこぼれ球を右足でシュートしたが、枠を超えてしまった。「あれはたまたま俺のところに(こぼれ球が)来ただけで」とシュートシーン自体は偶発的なものだったと説明した。

 それよりもチェイスが試合後に強調したのは、意識を含めた攻撃力向上の必要性だった。

「もっと攻撃を練習しないといけないし、もっと怖い選手になんなきゃいけない。今日の試合は『もっと前に、前に』と考えないといけなかったと思いました」

 サイドバックとして、得点に絡むことでチームに貢献したい。だが、上がってしまったあとの守備も気になる。そのサジ加減が、まだよくわからないという。

「もっと攻めたかったけど、やっぱカウンターも怖かったし、それがけっこう頭に入ってきて、なかなかいいポジショニングも取れなくて、それで守備的に試合に入っちゃった。攻撃やポジショニングをもっとやんなきゃいけないなと感じましたね」

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著者プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

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