久保建英が活躍中のレアル・ソシエダの「エスタディオ・アノエタ」は美しいビーチが続く高級保養地のスタジアム

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

欧州サッカースタジアムガイド2024-2025
第12回 エスタディオ・アノエタ(Estadio Municipal de Anoeta)

 ロンドンのウェンブリー・スタジアム、マンチェスターのオールド・トラッフォード、ミラノのジュゼッペ・メアッツァ、バルセロナのカンプ・ノウ、パリのスタッド・ドゥ・フランス......欧州にはサッカーの名勝負が繰り広げられたスタジアムが数多く存在する。それぞれのスタジアムは単に異なった形状をしているだけでなく、その街の人々が集まり形成された文化が色濃く反映されている。そんなスタジアムの歴史を紐解き、サッカー観戦のネタに、そして海外旅行の際にはぜひ足を運んでもらいたい。連載第12回目はエスタディオ・アノエタ、通称「レアレ・アレーナ」(スペイン)。

久保建英が所属するレアル・ソシエダの本拠地「レアレ・アレーナ」こと「エスタディオ・アノエタ」 photo by ロイター/アフロ久保建英が所属するレアル・ソシエダの本拠地「レアレ・アレーナ」こと「エスタディオ・アノエタ」 photo by ロイター/アフロこの記事に関連する写真を見る

 日本代表MF久保健英が2022年からプレーしているのがスペインのレアル・ソシエダであり、ホームスタジアムは「レアレ・アレーナ」こと「エスタディオ・アノエタ」だ。
 
 ラ・リーガ1部に所属するレアル・ソシエダは、1980年代にリーグ戦で連覇を果たしている古豪で、この10シーズンほどは優勝争いこそできていないが、過去5シーズンは6位以上と安定的な成績を残しており、昨シーズンはチャンピオンズリーグにも出場している。
 
  本拠地はスペイン北東部の港湾都市で、バスク州キプスコア県の県都であるサン・セバスティアン(バスク語ではドノスティア)だ。フランス国境に近く、美しいビーチが続き、世界的な高級保養地としても名高い。そのため19世紀初頭から、スペイン王室が避暑地として利用するようになり、「夏の都」として利用されるようになった。
 
 20世紀初頭、イギリスからサン・セバスチャンにサッカーがもたらされ、前身のクラブでサッカーが行なわれるようになり、1909年には「クルブ・シクリスタ・デ・サン・セバスチャン」として国王杯で優勝した。
 
 当時のエンブレムの上部に自転車の車輪、下部にはサッカーボールを合わせたデザインだったように自転車部門が主だったため、この優勝をきっかけに独立する形でサッカークラブであるソシエダ・デ・フットボール(Sociedad de F?tbol)が誕生した。この頃から、市旗や市章の色に由来する青白ユニフォームが使用されるようになり、現在のエンブレムの原型も考案された。
 
  翌年の1910年には「夏の都」として使っていた、サッカー好きのスペイン国王アルフォンソ13世によって、「レアル(王)」の称号を授かり、サッカークラブとして初めてレアルの名を冠するクラブとなった。同時にエンブレムに王冠を施すことが許されたため、「ラ・レアル(La Real)」と言えば、一般的にはレアル・マドリードではなく、レアル・ソシエダを指す。
 

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著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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