「セリエAでGKの活躍は画期的」パルマで奮闘の鈴木彩艶に見る日本サッカーの歴史と未来

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

連載第12回 
サッカー観戦7000試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」

なんと現場観戦7000試合を超えるサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。今回はイタリア・セリエAパルマのGK鈴木彩艶に注目。欧州トップクラスでGKが活躍する意味を、日本人の欧州サッカー挑戦の歴史とともに記します。

【ミラン相手に安定感のあるプレー】

 イタリアのパルマに所属する日本代表GKの鈴木彩艶が、セリエA第2節のミラン戦にフル出場してチームの勝利に貢献した。昨年夏に浦和レッズからシント=トロイデン(ベルギー)に移籍した鈴木は、わずか1年でさらにステップアップし、開幕戦からパルマのGKを任されているのだ。

セリエAで開幕2試合連続出場のGK鈴木彩艶 photo by Getty ImagesセリエAで開幕2試合連続出場のGK鈴木彩艶 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ミラン戦では試合開始2分に、ルーマニア代表のデニス・マンが2試合連続となるゴールを決めてパルマが先制する。そして、その後もパルマがゲームを支配。ミランは前線にボールを差し込もうとするが、パルマ守備陣はコースを塞いでチャンスを作らせず、GKの鈴木にはほとんど見せ場がない状態だった。

 ただ、パルマは前半のうちに4度ほど決定機を作ったものの追加点が決まらず、案の定、後半は1点を追うミランが猛攻を仕掛けてきた。

 47分にはタイアニ・ラインデルスのミドルシュートがパルマゴールのクロスバーを直撃。49分にはクリスチャン・プリシッチがボレーで狙うが、これは鈴木がセーブ。その後も鈴木は反応のよさを見せて、至近距離からのシュートをはじくなど安定した守備を見せた。

 しかし、66分にはミランが同点ゴールを決める。テオ・エルナンデスとラファエル・レオンのコンビネーションで左サイドを崩し、最後はレオンのクロスをフリーのプリシッチが決めた。GKとしてはどうしようもない失点だった。

 それでもその後、パルマが2点目を決めて勝利。ミランの拙攻が目立ったとはいえ、90分を通じて鈴木のプレーは安定感があった。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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