旗手怜央が日本代表で刺激を受けたふたりのボランチ 遠藤航と守田英正の「異なる特徴と個性」とは?
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1月のアジアカップでは、ラウンド16のバーレーン戦でのケガにより悔しさを味わった旗手怜央。しかし、日本代表の練習では多くの刺激があり、向上心をくすぐられたという。セルティックで復帰した今、大会での日々と自身のプレーを振り返った。
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旗手怜央(写真中央)が1月のアジアカップの日々を振り返った photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る
【向上心をくすぐられたボランチふたりとのマッチアップ】
記事が配信されるころには、セルティックパークのピッチを踏んでいることだろう。少し時間は経ったが、自分の記憶を風化させないためにも、ここまでの歩みを記しておきたい。
1月1日、AFCアジアカップを戦う日本代表に選ばれた時は、率直に気持ちの昂ぶりを覚えた。なぜならその直前、昨年10月に負ったケガから復帰して、12月30日のリーグ戦でメンバー入りを果たしたが、出場機会は得られなかったからだ。それだけに、自分が日本代表に選ばれる可能性は低いだろうと考えていた。
世代別代表では東京五輪をはじめ、日本代表と名のつくものに参加したことはあったが、A代表の選手としてはアジアカップが初めての経験になる。選手である以上、自分が出場して試合に勝つことが一番だ。でも、たとえ途中出場だったとしても、出場機会が得られなかったとしても、チームがタイトルを獲るために力になりたいし、その瞬間、その場所に居合わせたいと思っていた。
途中出場だったが、1月2日のセント・ミレン戦で復帰を果たし、カタール入りしてからも、その思いは変わらなかった。
日本代表の練習では、当初はサブ組だったため、(遠藤)航くんや守田(英正)くんとマッチアップする機会が多かった。それもまた、自分にとっていい経験になると思えて、日々充実した時間だった。
航くんと守田くんは、ボール奪取能力に優れている共通点があるように、プレースタイルが似ている一方で、異なる特徴と個性を持っている。
航くんは、ボール保持者に対して、強く激しい圧力を掛けてくるため、自分がボールを持っている時には、常にプレッシャーを感じた。対峙したからこそわかる間合いの取り方、間合いの詰め方があった。
一方の守田くんは、ボールを持っている自分が嫌がる位置に、常にポジショニングを取っていた。そこに立たれてしまうと、ボールを持っても前に運べず、効果的なパスを出すのが難しかった。
似て非なる選手とマッチアップする練習は、向上心をくすぐられた。大会当初はツーボランチを組んでいたふたりの会話も非常に興味深く、考えをぶつけ合っている姿と擦り合わせていく作業は勉強になった。
だから、ゲーム形式の練習をした時には、いつももう少し長くやりたいな、やってほしいなと思っていたくらい。選手としては、それくらい幸せな時間だった。
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著者プロフィール
旗手怜央 (はたて・れお)
1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2022年3月のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。2022年1月より、活躍の場をスコットランドのセルティックに移して奮闘中。