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久保建英の移籍報道が過熱する理由 ただしソシエダ→マドリードには数々の失敗例も (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「先発確約」など絵に描いた餅】

 ベリンガムも、ドルトムントで3シーズンを主力としてプレーした後、レアル・マドリードで開花しつつある。「3シーズン」はひとつの基準になるのかもしれない。

 その意味では少なくとも2024-25シーズンまで、久保はラ・レアルでプレーすべきではないか。市場価値を最大限に上げ、実力を底上げするべきで、去就が問われるのは、その時だ。

「タケが残りたいと思うクラブかどうか」

 ラ・レアルのジョアキン・アペリバイ会長も発言しているように、今はラ・レアルが久保を必要とし、久保がラ・レアルを必要とする"均衡"が保たれている。

 また、レアル・マドリードが来季の監督も決定していないなかで(現在のカルロ・アンチェロッティ監督はブラジル代表監督就任が有力視されている)、「先発を確約」など絵に描いた餅でしかない。そもそもレアル・マドリードというクラブに「ポジションを与える」という甘さはない。世界に冠たるクラブでは、ポジションはどんなスターであっても自らつかみ取るものだ。

 さらに、「EU外選手枠3人がハードル」という話も聞こえるが、レアル・マドリードは本気でエース候補を迎え入れる場合、どんな手も使う。もし「ハードル」と語られているとしたら、評価が十分に高まっていない証拠だろう。

 個人的には、久保がレアル・マドリードに戻る条件のひとつは、かつてラ・レアルに在籍し、若き名将として注目される先述のシャビ・アロンソ(現在はレバークーゼンの監督だが、契約解除条項がある)が監督として戻ってきた時だと考えるが......。

 いずれにせよ、これからも久保の移籍報道は過熱するだろう。しかし当面、久保はラ・レアルでのプレーを楽しみ、研鑽を積むべきだ。

久保建英や鎌田大地、三笘薫など日本人選手の活躍にも期待!
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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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