鎌田大地につけられた愛情溢れるニックネーム 初ゴールはネドベドを彷彿 (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【「ファーストタッチが最大の長所」】

 たとえ時間はかかっても、鎌田は指揮官マウリツィオ・サッリの重要な戦士になる。そんな印象をこの試合から受けた。開幕から2試合、鎌田はスタメンとしてプレーしたが、ほとんど目立った活躍はなく、サッリはナポリ戦では休ませようかと考えたこともあったようだ。しかし、試合に出た鎌田はそんな疑いを払拭し、机をどんと叩いてこう答えたかのようだった。

「OK、今から本気を出していきます」

 サッリという監督のサッカーは、慣れるまでには思ったよりも多くの時間がかかる。鎌田自身もそのことについては現地でのインタビューで認めている。

「自分はこれまで多くのことを学んできた。しかし今は新しい国でサッカーをしている。すべてゼロから学び直している感じだ。サッリのような戦術家はなかなかいない」

 鎌田は皆に期待されている。クラウディオ・ロティート会長は彼のことを気にかけているし、チームメイトはすでに彼を気に入っている。メディアも興味津々だ。

「Cronache di Spogliatoio」(クロナケ・ディ・スポイアトーリオ。「ロッカールームニュース」という意味のSNSによる配信)は、従来のメディアとは異なる切り口で、選手やチームのバックステージを配信しており、すでに120万人のフォロワーがいる。その編集長ジャコモ・ブルネッティは、鎌田についてこう書いている。

「彼はいつもリラックスした足どりでプレーする。ファーストタッチは彼の最大の長所で、常に試合の先を読んでいる。一見テンポが遅いようにも見えるが、ナポリ戦ではラツィオの選手のなかでトップ5に入るスピードを持っていた。それは誰よりも早く先を読むことで、いち早く次の展開にふさわしいポジショニングを取ることができるからだ。おかげでマークを外すのもうまい。

 そのテクニックはすばらしく、ボールコントロールも秀逸、中盤の前方でいつもいい動きをする。特に右足からも左足からも自在に繰り出せるアシストはとても危険だ。彼の足の間にボールがあれば何かしてくれる。そんな期待を抱かせてくれる」

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