ラ・リーガで見るべきはソシエダのダビド・シルバ。相手を手玉に取る巧妙なプレーのカラクリ (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
シルバがボールを呼び込んでからフリックで背後のスペースに落とし、メンデスがスルーパス

 相手の出足が遅れてきたところを、シルバとメンデスのコンビネーションで崩した場面である。

シルバは相手を引きつけながらボールを受けてフリック。背後のスペースへ入ったメンデスがスルーパスシルバは相手を引きつけながらボールを受けてフリック。背後のスペースへ入ったメンデスがスルーパスこの記事に関連する写真を見る リコがタッチライン際でキープし、ルックアップした瞬間のシルバの動き出しが最初のポイント。シルバはマークに付いているルーカス・トロを引き連れるように中間ポジションに動き出してボールを呼び込んだ。これによって、中盤中央のエリアにスペースが空く。

 リコがシルバへクサビのパスを入れる時の、メンデスの動きが次のポイントだ。パスが出る瞬間にシルバが空けたスペースへ動き出し、シルバがそれに対してワンタッチのフリックでボールを落とすと、メンデスが鮮やかにフリーでスペースに抜け出した。

 正面からフリーで進入していくメンデスに対して、オサスナのセンターバックのダビド・ガルシアは、早めに足を止めて迎え撃つ。しかし、その瞬間にDFラインにギャップが生まれ、セルロートがそこを突いて裏へ動き出した。

 そしてメンデスがスルーパスを出すと、抜け出したセルロートが冷静にループシュートを決めて追加点となった。

 シルバのスペースを作りながらパスを呼び込む動き出しと、それに対してスムーズに反応したメンデスの動きの質は見事。その後のセルロートの動きとフィニッシュの質も含め、オサスナを翻弄して完璧に崩した場面だった。

◆【動画】ラ・リーガ第15節 ソシエダvsオサスナ ハイライト
(ソシエダの2点目のシーンは、4分36秒~5分39秒)

【筆者プロフィール】
篠幸彦(しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の”実戦ドリル”でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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