下部組織出身の久保建英に一撃喰らえば...シャビ・バルサが早くも正念場。派手な補強もバルサらしさが見えず (2ページ目)
生え抜きの選手たちに精彩がない
今後25年間分の放映権の25%を約5億8000万ユーロ(約783億円)で売り渡し、デジタルコンテンツなどの関連会社の権利も49.5%を譲り、約2億ユーロ(訳270億円)の収入を得て、今オフの大型補強が可能になった。ただ、早い話が"前借り"と資産の切り売りだ。
その不穏さで屋台骨が揺らいでいる。まず、かつて隆盛を誇った中心選手のプレーに精彩がない。
ラージョ戦、ジェラール・ピケは14年間で初めて開幕戦スタメン落ちとなった。ジョルディ・アルバは先発したが、各紙で最低点をつけられ、存在感を発揮できなかった。契約を更新したセルジ・ロベルトも交代出場で空回り。セルヒオ・ブスケツは健在だったが、軽率なファウルで退場処分になった。
次世代を担うラ・マシア出身の若手も低調だ。
昨シーズンから希望の光になっていたガビは、足枷をつけたようなプレーだった。右サイドバックに入ったロナウド・アラウホも、ダニエウ・アウベスを懐かしんでしまうほど、何も貢献できていない。エリック・ガルシアはあらためて対人プレーの弱さを露呈し、ラダメル・ファルカオに体をぶつけられると、簡単に起点を作られていた。
一方で、新たな"三つの矛"、デンベレ、ラフィーニャ、レヴァンドフスキは威力を感じさせた。デンベレはバックラインの前を横切るパスで何度も決定機を作り出し、ラフィーニャも独特の左利きのリズムを見せ、レヴァンドフスキもシュートこそ決まらなかったが、「エリア内の住人」であることを示した。歯車さえ噛み合えば、敵を蹂躙するだけの力はある。
そして、後半から入ったアンス・ファティはバルサの希望だろう。シュート技術は格別。デンベレの横パスを呼び込み、右足で合わせた"当て勘"は特別な才能を感じさせた。コンディションが万全なら、ゴールを量産できるはずだ。
しかし、個人は目立っても、コンビネーションで崩すシーンは乏しかった。音楽が鳴り響くようなパスワークは影を潜めた。つまり、バルサらしさは見えなかった。
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