守田英正がスポルティングに引き抜かれた理由。風間八宏は「相手が近寄れない技術を持っている」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

相手を見ながらプレーできる

 では、そんな守田の強みは何か。風間氏が続ける。

「ひとつは、止める技術が正確で、常にボールをコントロールできているところですね。一瞬のタイミングを逃さずに高精度のパスを出せるのは、いつでも蹴れる場所にボールを置けているからです。

 それと、ルカ・モドリッチの時にも話しましたが、守田も無駄にボールを触りません。ボールを動かさずに相手との距離、間合いをつくっているので、相手は簡単には懐に飛び込めなくなりますし、捕まえ難くなります。

 逆に言うと、捕まえ難い選手というのは、ボールを止めて相手も止めることができる、ボールと一緒に動く時は相手に狙いをつけさせない運び方ができる。このふたつができると相手はボールを奪いにいけなくなるので、時間がつくれるのです。よくサッカーでは時間をつくれと言いますが、なぜ時間がつくれるかと言えば、それは相手が近寄れないから。守田は、その技術を持っています。

 しかも彼の場合、先ほど話したようにフリーの定義が違うので、一度ボールを持ったらずっと自分がフリーになり続ける動きをします。だから、ほとんど相手に捕まらずにプレーし続けられる。これも、彼の大きな武器だと思います。

 そして何よりの強みは、相手を見ながらプレーできる点でしょう。いつも話していることですが、味方だけを見るのではなく、しっかり相手を見てプレーしているからこそ、決定的なパスが供給できる。あるいは、相手が見えているからこそ、相手にとって捕まえ難い選手になれるし、相手に触られない選手になれるわけです。

 それは守備にも言えて、しっかり相手が見ているから、要所を消しながら待ち、いざという時に狙いにいける。1対1の局面でも、相手をしっかり捕まえられる。攻守両面で忠実にサッカーの大事なポイントをおさえているという意味で、本当に守田は目覚ましい成長を遂げている選手だと思います」

 大卒選手の守田は、今年でプロ5年目をむかえた27歳。日本代表としても、カタールW杯アジア最終予選のオーストラリア戦(ホーム)から4-3-3のインサイドハーフとして確固たる地位を築き上げ、日本を代表するMFに成長しつつある。

 果たして、守田はこのまま成功の階段を駆け上がることができるのか。より高みを目指すために必要なものは何なのか、敢えて風間氏に聞いてみた。

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