大迫勇也の厳しい現状をドイツ人記者が指摘。改善へ監督と話し合いも (3ページ目)

  • ビョルン・クニプス●文 text by Björn Knips
  • 鈴木達朗●翻訳・構成 translation by Suzuki Tatsuro

 だからこそ、コーフェルトは監督として何度も大迫を励まし、外部の批判からも守りつづけるのだ。しかし監督は、大迫自身が事態を難しくしている点も理解している。それは、ピッチ内だけではく、ピッチ外でも当てはまる。日本人選手の大迫は、クラブの外部に対してとても心を閉ざしているような印象を与え、インタビューに応えることもほとんどない。

 インタビューにドイツ語で応じられるのはわかっている。それだけ話せるのに、インタビューに応じないのは、もったいない。彼は、それを拒んでいるのだ。そういったこともあり、ファンたちは、大迫についてほとんど何も知らない。

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 ドイツのサポーターたちは、選手たちとのつながりを重要視している。選手たちと共に苦しみ、喜びを分かち合って、チームの一員として熱狂したいのだ。そんなブレーメンのファンにとって、大迫は普段何を考えているのかわからず、人柄がわからないために、近づきがたい存在となってしまっているのだ。

 そういった状態では、容易に批判の的となってしまう。ファンの大迫に対する"負の感情"が頂点に達したのは、開幕戦だ。ファンの一部がスタジアムに入ることが許されていたこの試合で、ブレーメンの前半は散々な出来だった。酷いプレーをしたのは、大迫ひとりだけではない。だが、ハーフタイム終了とともに、スタジアムのアナウンスが大迫の交代を告げると、ヴェーザーシュタディオンでは拍手喝采が起こった。

 それは、彼の交代を喜んでいるかのようだった。コーフェルト監督にとっては、不愉快以外の何物でもない。「ユウヤは、戦犯としてすべての責任を押し付けられている。フェアじゃない」と怒りを示す一幕もあった。

 今の大迫にとっては、コロナ禍で無観客のほうがプレーしやすいかもしれない。シャルケ戦で、ようやく一条の光を見出すことができたとはいえ、今のところ、以前に比べてはるかに良いプレーをしているとも言いがたい。

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