今、世界で最も欲しがられる選手。アラバはどこでプレーしても最上級だ (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 結果的に、バイエルンはカウンターアタックをまともに食らう回数が増えた。ハイプレスにリソースを割いているので、CB(センターバック)ふたりが後方に残っているだけ。広いスペースのどこかにボールが出れば競走になるし、CBを越えられるとGKとの1対1だ。

 今季のバイエルンは失点が多く、よく先制されてもいる。ただ、それで負けないのは地力の差もあるが、アラバのカウンター対処能力とGKマヌエル・ノイアー(ドイツ)の力によるところが大きい。このふたりがいなければ、少なくとも現在の順位(1位/1月21日時点)ではなかっただろう。

<マルチプレーヤーとして有名>

 アラバは、ウイング、MFのすべてのポジション、左SB(サイドバック)とCBでプレーできるマルチロールプレーヤーとして有名だ。器用なだけでなく、どのポジションでもトップクラスの能力がある。

 オーストリア代表に最年少デビュー(17歳)、オーストリアではMFだったがバイエルンでは左SBとしてレギュラーポジションを獲得した。ジョゼップ・グアルディオラ監督(スペイン)が来ると、いわゆる「偽SB」としてボランチ、インサイドハーフ、左ウイングと前進していくプレーで注目された。

 グアルディオラ監督が2年目に3バックを採用した時には、その左側を担当。現在はCBとして不可欠の存在になっている。

 スピード、スタミナが抜群。戦術眼に優れ、左足のパス、シュート、カーブをかけたFKもすばらしい。まさにオールラウンドな才能の持ち主である。ボールを止める、蹴る技術では最高クラスだろう。ファーストタッチが完璧で足下からボールが離れない。

 インサイドで押し出すようなキックは正確無比、素直で真っ直ぐなボールを味方へ届ける。止めて蹴るまでの時間が短く、左足にボールがついたと思った瞬間にはリリースされているように見えることもある。したがってヘッドアップも早く、状況判断を間違えない。

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