カタカナ表記が定まらないチェルシーの名手。クロスのクセが強い!
無料会員限定記事
サッカースターの技術・戦術解剖
第33回 ハキム・ツィエク
<クセの強いクロスボール>
「ギョエテとは 俺のことかと ゲーテ言い」
明治時代の小説家、斎藤緑雨の川柳だが、サッカー選手の名前も依然として定まらない。
今季からチェルシーでプレーするハキム・ツィエク はたしてツィエクなのか、それともジィエシュ? シエシュ、ジエク、ズィエク、ツィエシュ......スペルは「Hakim Ziyech」だが、ロシアワールドカップの登録はZiyachだった。
カタカナの人名表記はこれまでたびたび問題になっていて、最近ではキリアン・エムバペなのかムバッペなのかムバペなのか、バラバラだった。ジネディーヌ・ジダンもズィダン、ジダヌなど、けっこう分かれていたものだ。
ここではツィエクという表記にしておくが、この先どれで定着するかはわからない。
アヤックス(オランダ)で活躍して今季チェルシー(イングランド)に移籍してきた。プレシーズンマッチで負傷して出遅れていたが、ようやく試合に出るようになった。
第8節のシェフィールド・ユナイテッド戦では2アシストを記録、4-1の勝利に貢献している。2つのアシストは、いずれも右サイドから左足で送ったロングクロスだ。
右サイドからの左足のクロスボールなので、ゴールへ向かうインスイングの軌道になる。インスイングのボールはミートできればゴールに入れやすいが、合わせにくいという難点がある。
とくにツィエクのようにボールスピードがあって途中でカーブする軌道だと、コースに合わせにいってもボールのほうが速くて、合わせるのが遅れてしまうケースが出てくる。
ただ、味方が合わせにくいということは、守備側にも触りにくいわけだ。それだけに、クセのあるツィエクのボールを生かすには、味方がどれだけ慣れていくかにかかっている。
少なくとも相手よりも軌道は理解できるので、ツィエクのクロスはセットプレー的な威力が増していくだろう。チェルシーにはタミー・アブラハムやカイ・ハフェルツといった長身のアタッカーもいる。
1 / 3