武藤嘉紀、エイバルへ。泥臭く戦うチームで求められる役割は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

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 エイバルの開幕戦で出場した2人のFW、キケ・ガルシアとセルジ・エンリクは無得点で、どちらもポジションを確保しているとは言えない。2人とも、昨シーズンのゴール数は片手に収まった。エイバルは前線の非力さのせいで、昨シーズンは最後まで残留争いに巻き込まれたのだ。

 武藤は、ボールプレーの質では2人より上だろう。スマートなストライカーであることは間違いない。反転からのスピードやアクロバティックなシュートは、ひとつのアドバンテージになるはずだ。

 ただ、エイバルはとても泥臭い戦いを信条とするチームである。トレードマークは、前線からの激しい守備。精神的にも肉体的にも激しい戦いを強いられる中で、FWは最後の仕上げで力を発揮しなければならない。

 また、エイバルを率いるホセ・ルイス・メンディリバル監督はバスクの闘将らしく、前線の選手に戦闘力を求める。プレスで激しくボールを追い、ポストになって確実にボールを収め、センターバックと消耗を厭わずに削り合い、何度も果敢に空中戦を挑み、駆け引きの中で相手の隙を見つけ、クロスに体ごと飛び込む。2015-16シーズン、エイバルで18得点を記録したボルハ・バストン(現レガネス)は、まさにその典型だった。

 はたして、武藤はタフなFWとしての顔を見せられるか?

 現時点で、武藤は新型コロナウィルスに関するルールのためチームに合流できていない。個人練習をしながら、来週のPCR検査次第でチームに加わる。そのため、今週末、久保建英を擁するビジャレアルとの試合に出場する見込みはないという。最短で9月末、本拠地イプルアでのアスレティック・ビルバオ戦でデビューの予定だ。

 デビューから数試合は、今後のバロメータになるかもしれない。過去にリーガ挑戦した日本人FWも、城彰二、大久保嘉人などが入団当初に華々しい活躍を見せている。リーガでは低調に終わった日本人選手も、入団当初の評価は低くなかった。プレーが研究されていない段階で、どこまで力を示し、ポジションを確立し、プレーの幅を広げられるか。その具体的な結果として、まずはゴールがモノを言う。

 武藤にとっては、乾という日本代表でのチームメイトがいるのは心強いに違いない。クロスの入れ方ひとつとっても、プレーの癖など特徴は伝わりやすいだろう。なにより、日本人ホットラインでゴールを生み出すことができたら、またとない追い風になるはずだ。

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