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シャビ・アロンソが歩み始めた道。
なぜ名将は中盤から生まれるのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by PRESSE SPORTS/AFLO

 シャビ・アロンソはそう言う。彼はとにかく"勝つチーム"のボランチだった。イングランド、スペイン、ドイツと異なるリーグで、華々しい栄光を勝ち取っている。低く速い弾道で、目的地にストンと落とすロングパスは、物騒な表現をすれば高精度のミサイルのようだった。

 なにより、戦術的に抜きん出ていた。味方のスペースを補い、相手のスペースを潰す。そして全力で味方をカバーし、勝利をもたらした。有り余る才能を持ちながら、チームのために犠牲を払える選手だった。

「最後にチームが頼るのはシャビ・アロンソ」

レアル・マドリード時代に監督としてともに戦ったジョゼ・モウリーニョの言葉である。シャビ・アロンソはチーム内でどの派閥にも属さなかった。孤高を保ったにもかかわらず、誰からも信頼された。チームを束ねる力があったからセンターハーフになったのか、センターハーフになったからチームを束ねられたのか――。シャビ・アロンソは、生まれながらのリーダーだった。

「シャビ・アロンソは偉大な監督になる資質を備えている」

 そう言って、監督としての才能に太鼓判を押すのは、ミケル・エチャリだ。エチャリは、ユース時代のシャビ・アロンソを見出している。周りの評価は低かったが、そのビジョンの明敏さと技術習得への執念を評価した。10代にして、ゲームを動かす気概を持っていたという。

「シャビ・アロンソは、コーチに『届かないなら、近くにパスしろ』と注意されていた。逆サイドへのロングキックがうまくいかなかったときのことだ。でも、あいつは『見えているのに、出せないなんておかしい』と言い張った。そして強いキックを蹴るため、誰よりも練習した。子供の頃から、そうやって常にサッカーを突き詰めていたよ。答えは常に自分の中にある。それは監督となったときも、土台になるだろう」

 どうやったらチームを勝たせることができるのか。シャビ・アロンソは、それを追求してきた。結果、プレーコンセプトはすでにできあがっているのだろう。彼は誰かの真似などしない。すでに勝利の方程式を持っているのだ。

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